「ドラレコ」の売れ筋価格が急上昇 “高付加価値化”が止まらない根本的な理由:マーケティングの視点から分析(5/5 ページ)
ドライブレコーダーが急速に普及している。なぜ、カー用品の大ヒット商品に育ったのか。筆者の分析によると……。
成熟市場におけるマーケティングのヒント
必要ないはずのものが、社会環境の変化で「必要不可欠な商品」に変化することがあります。
当初、クルマを運転するだけでワクワク・ドキドキする人は多かったでしょう。そして、好きな場所に好きな時に移動できるクルマの存在は、ストレスを解消し、最も気分を高揚させる存在だったはずです。
しかし、世の中はストレス社会となり、「できるだけ速く移動したい」とか「自分たちだけが楽しければいい」と考える人が増えてきたように感じます。日々のストレスを運転中も引きずってしまい、運転に支障をきたすほどのイライラを感じる場面が増えてきました。
あおり運転問題はその代表的なものの一つです。結果として、自身の安全を守るための商品やサービスは、必要不可欠な存在になります。
今はこのような「安心・安全を確保する」ための商品はさまざまなカテゴリーで増加しています。コロナ対策のマスクや除菌商品、ランドセルの防犯ブザー、防災用品、ウイルスソフトやセキュリティサービスなどが挙げられます。
保険会社はドラレコを低価格で貸し付けるドラレコ特約付き保険などを出し始めました。三菱自動車はリース商品「ウルトラマイカープラン」で、任意保険や通信機能付きドライブレコーダーを標準で付帯し始めました。トヨタ自動車は6月に発売した「ハリアー」に、前後2方向の録画機能を内蔵したデジタルルームミラーを装備しました。
新たなモビリティとしての自動車の価値が見直されつつある今、安心・安全を守る自動車アフターマーケットは拡大していくことでしょう。世の中が変化すると、成熟市場にも新たな変化を引き起こします。成熟したからと言ってそれは市場の終わりではありません。そこからどんな新しい課題をつくれるか。これからの日本の市場に必要な視点をドラレコは教えてくれます。
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