暴落も関係ない? ヘッジファンド的運用を組み込んだSUSTENロボアドの凄さ(5/6 ページ)
SUSTENは、ロボアドバイザーサービスでありながらヘッジファンド的な運用を行うことが特徴だ。運用方法だけでなく、手数料についてもヘッジファンドに似た体系を取っている。
ヘッジファンド的なコスト体系
手数料体系も珍しい。通常のロボアドは、預かり資産額に対して1%程度の手数料を取るのが一般的。ところがSUSTENは、完全成果報酬型を取り入れた。運用によって資産額が過去最高値を上回ったら、上回った分の6分の1から9分の1(約16.67〜11.11%)を手数料とする。リターンが出なかったり損失が発生したりしたら、一切手数料は発生しない。
ユーザーの資産が過去最高値を上回った時だけ、その一部を手数料として支払う完全成功報酬型だ。投資信託の分別管理に必要な信託報酬や、買い付けるETF内部の信託報酬は別途かかり、詳細は投資信託の目論見書で開示している
「固定報酬型は、ファンドが大きくなったときにお客さんとファンドが同じ方向を向かなくなる。リターンがマイナスなのに手数料を受け取り続けるのは腑(ふ)に落ちない」と岡野氏は話す。
こうした報酬体系はハイウォーター・マークと呼ばれ、ヘッジファンドなどで一般的だ。よくあるヘッジファンドは、預かり資産の2%程度に加え、リターンの20%程度を手数料としていることが多い。
もっとも、投資成績は日々変化するので、チェック頻度が高いほど運営側にとって有利となる。判定日のタイミングでだけ過去最高の資産額になっていたら、手数料が発生するからだ。ヘッジファンドは普通6カ月または1年で判定するが、SUSTENは毎月の判定だ。その代わり、固定報酬をゼロとしている。
しかし、相場が下落局面に入ったら、ユーザーの資産は過去最高値を下回り続けてしまい、成功報酬が全く入ってこなくなる。SUSTENにとっては事業継続の大きなリスクではないか。
実はここでも「分散」が効いている。ハイウォーター・マークを使用している投資信託は国内にもあるが、過去最高を更新したかどうかはあくまで投信全体の成績で判定している。ところがSUSTENの場合、判定はユーザーごとに行う。「個人ベースでハイウォーター・マークを取ると、始める時期も違うし、ポートフォリオも違う。われわれにとっては顧客の分散になっている」(岡野氏)。これが実現できるも、投資一任契約を個別に結んでいるためだ。
ちなみにハイウォーター・マークという仕組みは、短期売買に向かないと岡野氏は話す。それはそうだ。資産が増加したからと売却すると、その時点で手数料が発生する。逆説的だが、市況が悪く資産が増加しない局面において、手数料無料で運用を続けてもらえるところに成果報酬型を選ぶメリットがある。
ちなみに、シミュレーションによって株式メインのポートフォリオのハイウォーター・マークによる手数料率をSUSTENが計算したところ、運用期間が長くなればなるほど年率の手数料率が下がるという結果となった。ヘッジファンド的な運用を行うGreenファンドでも、5年間を想定したシミュレーションによる手数料率は年率で0.45%にとどまる。
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