真面目に運営していても、「飲食店」だけが叩かれるシンプルな理由:スピン経済の歩き方(2/6 ページ)
4度目の緊急事態宣言が発出され、飲食店がまた攻撃されている。西村康稔経済再生相からは、まるで「反社」扱いされたわけだが、なぜ飲食店はここまで叩かれるのか。背景にあるのは……。
いじめられる正当な理由はない
と聞くと、「ワケのわかんない主張をするな! 飲食店をいじめているわけではなく、みんなの命を守るためにはしょうがないのだ」と声高に主張する人もいるだろうが、残念ながらそれは「ムード」に流されているだけと言わざるを得ない。
例えば、7月11日の感染経路を見ても、新規感染者614人の中で最も多いのは「家庭内」で113人、次いで「職場内」が54人。酒を提供する店があるせいで感染が広がっているというのは、科学的エビデンスが弱く、「フィーリング」に近いストーリーなのだ。
また、「みんなの命を守る」という点では、飲食店イジメは逆効果だ。
昨年いたるところで「医療が崩壊したら救える命が救えなくなる!」という悲鳴が上がったが、実は日本の超過死亡は減少している。日本では平時でも年間で約138万人が病気や老衰で亡くなっている。つまり、毎日平均すると3700人以上の死者が出ているのだが、昨年はそれが大幅に減少。コロナによる死者も例年のインフルエンザとそれほど変わらない水準だった。つまり、日本は他の先進国と比べたらケタ違いに「みんなの命」を守れているのだ。
しかし、そんな「善戦」の足を引っ張っているのが、飲食イジメだ。警察庁の発表によれば、6月に全国で自殺したのは1745人で、昨年同時期より173人増え、これで12カ月連続で自殺者が増加している。その中でも前年から2割弱と大幅に増えているのが、パートやアルバイトという非正規雇用で働く方が多い女性だ。ネチネチと飲食店イジメが続くことで、引き起こされている「経済死」が、非正規女性の自殺を増やしている恐れがあるのだ。
このような日本の状況を冷静に振り返って見れば、飲食店だけがここまで執拗(しつよう)にいじめられる正当な理由はない。しかし、現実はもはや「反社」扱いだ。ということは、論理的に考えれば、答えは一つしかない。
権力が飲食店をここまで執拗に叩くのは、「コロナ対策やってます」という政治的パフォーマンスのためであり、「いじめてもいい存在」だと軽んじているからなのだ。
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