なぜ若者はワクチン接種に消極的なのか 本当の理由と背景:解決法(1/6 ページ)
やがて順番が回ってくるワクチン接種に消極的な若者が少なくない。アンケートではその理由はさまざまだが、「絶対接種したくない」という人はむしろ少数で、あいまいなものが少なくない。その本当の理由と背景をみてみると……。
日沖博道氏のプロフィール:
パスファインダーズ社長。30年にわたる戦略・業務コンサルティングの経験と実績を基に、新規事業・新市場進出を中心とした戦略策定と、「空回りしない」業務改革を支援。日本ユニシス、アーサー・D・リトル等出身。一橋大学経済学部、テキサス大学オースティン校経営大学院卒。
緊急事態宣言と解除、感染者数の縮小と再拡大を繰り返すニッポン。この悪夢を断つ切り札はやはりワクチンだと期待されている。しかしそれにも大きなハードルが待っている。若い世代ほどワクチン接種に消極的なのだ。
例えば筑波大学が2021年4月に20〜40代を中心に行った新型コロナ用ワクチンの接種希望についての調査では、「絶対」または「多分」接種するとしたのは4割強に過ぎず、「周りの様子を見てから判断」が一番多くて38.4%、「多分」「絶対」接種しないと答えた人が19%にも上っている。
リーディングテック(株)が今年2月に実施した『コロナワクチンに関する意識調査』では、「希望する」は63%、「希望しない」は37%という結果が出ている。年齢が若いほどワクチン接種に消極的なのは明らかだ。
同様に、(株)アーキテクトが今6月に意識調査を実施した結果でも同様で、20代だと「接種するかどうかで悩んでいる」27.0%、「接種しない」17.0%と、4割強が消極的だ。
他にもいくつかのアンケート調査が実施されており、実施タイミングと質問の仕方でそれぞれ結果の数値は異なるが、「若い世代ほどワクチン接種に消極的」という傾向は一致しているようだ。それはなぜなのだろう。まずは彼らが挙げる理由を精査してみよう。
上記のリーディングテックの意識調査ではその理由は、「副作用が怖い」45.0%、「予防効果が疑わしい」23.8%、「体内に異物を入れたくない」9.2%、「注射が苦手」7.5%、「接種場所での感染リスク」7.2%、「めんどくさい」3.4%と続く。率直に答えてもらっているようだ。
アーキテクトの意識調査のほうでは、消極的な理由の第一は「副反応が心配」41.3%の後に、「ワクチンの安全性に疑問を感じる」19.0%、「十分な検査ができていない気がする」11.2%、「ワクチンの効果に疑問を感じる」2.8%と続き、「接種会場に行くのが面倒」1.7%、「接種場所での感染リスクがある」0.6%、「予約手続きが面倒」1.1%、「注射が嫌いなので」2.2%、「自分は感染しないと思う」1.1%という具合だ(随分と細かく分けているが、カブる項目があるようにも思える)。
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