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「おジャ魔女どれみ」とコラボで“想定以上の効果” 第一三共ヘルスケアが、制約だらけの医薬品で挑むデジタル戦略デジタル販促戦略の現在(1/4 ページ)

『おジャ魔女どれみ』とコラボレーションした動画配信を軸に、口内炎の市販薬「トラフル」の売り上げ増を実現したのが、OTC医薬品(一般用医薬品)メーカーの第一三共ヘルスケアだ。成功の要因は、インターネット上だけでコラボ動画を配信し、TwitterやInstagramなどのSNSで拡散するデジタル中心の販促戦略にあった。

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 懐かしいテレビアニメの『おジャ魔女どれみ』とコラボレーションした動画配信を軸に、口内炎の市販薬「トラフル」の売り上げ増を実現したのが、OTC医薬品(一般用医薬品)メーカーの第一三共ヘルスケアだ。「口内炎ができるほど頑張る20代の女性」を応援するコンセプトで消費者とコミュニケーションを図ったところ、ブランドとしての売り上げが伸びたという。

 成功の要因は、インターネット上だけでコラボ動画を配信し、TwitterやInstagramなどのSNSで拡散するデジタル中心の販促戦略にあった。同社の医薬品としては初めての取り組みだったものの、デジタルの活用によって想定以上の効果が得られたという。

 同社は、先進的なデジタル販促に取り組む企業によるオンラインセミナー「デジタル販促×SNS最前線」(アライドアーキテクツ主催)にパネリスト企業として参加。常に新たな手法を模索している第一三共ヘルスケアのデジタル販促の戦略を、マーケティング部広告宣伝グループの北條秀明氏に聞いた。


北條秀明(ほうじょう・ひであき) 第一三共ヘルスケア マーケティング部広告宣伝グループ。2018年4月入社。入社当時より広告宣伝グループとして、デジタルを中心に「ルル」「トラフル」「ぺラック」などのブランドプロモーション全体を担当。また、オウンドメディア運営やECサイト支援、SNS運用などブランドにひもづかない領域に関しても担当し、Web上での消費者接点創出・改良にも力を入れている

制約が多い医薬品の販促で新たな試み

 第一三共ヘルスケアの市販薬「トラフル治療薬シリーズ」は口内炎の治療薬である。錠剤、スプレー、軟膏など、症状や患部にあわせて多様なタイプを用意した。TVCMでは、口内炎が痛くて、食べたくても食べることができない悩みを解消する薬であることを訴求している。

 20代の女性に向けたコミュニケーションとして、20年10月から期間限定で実施したのが、テレビアニメ『おジャ魔女どれみ』とのコラボだった。口内炎ができるほど頑張る女性を応援する、というメッセージを込めたWeb限定のアニメ動画広告を63秒、15秒、6秒と3パターン制作して、YouTubeで公開した。

 動画はテレビCMとしては使わず、ネット上だけで公開して、WebサイトやTwitter、Instagramなどで拡散した。また店頭では、POPなどでも『おジャ魔女どれみ』とコラボした。ネットと店舗だけでの販促を選んだ理由を、北條氏は次のように説明する。

 「医薬品の販促にはさまざまな制限がありますが、できることを最大限やろうと考えたのが、『おジャ魔女どれみ』とのコラボです。頑張っている20代の女性を、おジャ魔女たちとトラフルが応援しているメッセージを伝えるのが最大の目的でした。ただ、20代女性はテレビの接触率が低く、広告予算にも限界があります。テレビCMでは届けたい人に十分に届かないと思い、デジタル中心での展開を考えました」


『おジャ魔女どれみ』は1999年より朝日放送・テレビ朝日系列で4年間放送された「おジャ魔女どれみ」シリーズ。2019年にはアニバーサリーイヤーを迎え2020年に20周年記念作品「魔女見習いをさがして」を劇場で公開(©東映アニメーション)
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