小山田圭吾炎上騒動に学ぶ、企業担当者が「ブラック著名人」とのコラボを避ける方法:スピン経済の歩き方(2/6 ページ)
東京オリンピック開会式の作曲担当をしていた小山田圭吾氏が、辞任する意向を関係者に伝えたという。それにしても、大会組織委員会はなぜ小山田氏を起用したのか。過去をちょっと調べれば、同級生や障害者をいじめていたことが分かるはずなのに……。
組織委員会という「組織」の欠陥
では、どうすれば「ブラック著名人」トラブルを避けることができるのか。まず、「身体検査」がもっとも有効なのは言うまでもない。CMやコラボ先の候補として名前が挙がった段階で、過去のスキャンダル、ネットやSNSでどのような評判・風評があるのかをチェックする。自分たちでやっている暇がないのなら、外部に頼んでもすべきだろう。
ただ、これは言うは易しで、現実に行っている企業・団体は意外と少ない。実際、組織委員会もやっていなかった。
会見で、武藤敏郎事務総長は、今回の炎上まで、小山田氏の過去を知らなかったと説明している。2ちゃんねる開設者のひろゆき氏によれば、ネットで話題になるのは「3回目」だそうで、サブカルチャー界隈などでは以前からかなり有名な話だったというのだから、それを把握していないということは、組織委員会側がまったく小山田氏の「素行チェック」をしていなかったことを示している。
「身体検査がなくても職員が4000人もいるのだから、誰かしら『小山田圭吾はまずいだろ』と指摘するはずだろ」「責任逃れでうそをついているのでは」――。そんな声が聞こえてきそうだ。筆者も同じ疑念を抱かざるを得ないが、一方で、この手の不祥事対応に実際に協力をした経験もある立場から言わせていただくと、巨大組織になればなるほど、こういう「チェック漏れ」が発生してしまうのも事実なのだ。
ネットやサブカルというその筋の人間からすれば、小山田氏が「障害者いじめ自慢」をしていたのは常識だが、五輪の開閉会式を担当している人々の頭の中は、国際的にも評価されるアーティストをいかに起用して、いかにしてセレモニーを盛り上げるかといったことで一杯だ。だから、小山田氏が起用された際に、「身体検査」をするといった発想すら芽生えなかったのではないか。
そんなバカなことがあるわけがない、という意見もあろうが、組織委員会という「組織」の致命的な欠陥をみていると、こんなバカなことも十分起きてしまうのではないかと思う。
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