ステーキ、丼、パスタにも“浸食” コロナ禍で「二郎インスパイア系」が勢いを増しているワケ:長浜淳之介のトレンドアンテナ(6/6 ページ)
「二郎インスパイア系」「がっつり系」「G系」と称するジャンルがコロナ禍で勢いを伸ばしている。二郎風のステーキ店まで登場し、店舗も増えている。二郎系が大衆化した背景には何があるのか。
二郎系を仕掛ける狙いは?
このような二郎系のブームを、ローソン・広報では「コロナ禍によって人々が外食に行けなくなり、コンビニでも飲食店とのコラボ商品が求められるようになった。がっつり系は食べ応えがあって、満腹感が高い」と見ている。特に、夜間の売り上げが好調。お店で食べると1000円くらいかかるが、レンジ麺の価格が600円以内と安価なことも、売れる理由だ。
全国に約200店を展開する「らあめん花月嵐」では、毎月期間限定ラーメンを発売している。この企画が始まった初期の06年から、二郎インスパイア系「モンスターシリーズ」を1〜2年に1回程度のペースで販売している。
「まだラーメン二郎が東京ローカルの人気店だった頃から取り組んでいて、二郎の存在を全国へ広めるのに貢献できたのではないかと自負している」(運営会社グロービート・ジャパンの広報担当者)
関東に10店舗ある「野郎ラーメン」では、17年に月額8600円で1日1杯のラーメンが無料になるサブスクリプションサービスを打ち出して話題になった。同チェーンは二郎インスパイア系では早くからカップ麺に取り組み、17年から監修した商品をサンヨー食品から販売。第6弾までシリーズを重ねている。
二郎インスパイア系は、2000年代の花月嵐の普及活動、千里眼などのレベルの高い店の出現、2010年代の立川マシマシのような地方展開するチェーンの伸長、カップ麺の成功によってブームの下地が醸成された。そして、19年にセブンがとみ田と組んだレンジ麺で全国的にジェネリック二郎ブームの火が付き、ファミマとローソンも追従。コロナ禍による在宅時間の増大に伴って、家で二郎風ラーメンを自作する“家二郎”の実践者の出現にまで深化した。
二郎系の大衆化により、一見とっぴに映る二郎系ステーキが売れたのも必然と言えよう。
著者プロフィール
長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)
兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。共著に『図解ICタグビジネスのすべて』(日本能率協会マネジメントセンター)など。
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