赤字予想から一転、最高益 オフィス縮小ブームの中でオカムラが作り出した「需要」とは?:オカムラの「新オフィス提案」に迫る(3/3 ページ)
新型コロナウイルスによって人々の働き方は大きく変わった。それに伴い、オフィス縮小や移転の動きが急激に広がり、オフィス関連市場には逆風が吹き付けていた。事務機・オフィス家具大手のオカムラも苦境に立たされていた。しかし、蓋を開けてみると2021年3月期の連結決算は過去最高益を達成していた。市場から需要が消えたにも関わらず、なぜ達成できたのか。オカムラの中村雅行社長執行役員に話を聞いた。
学びは「世の中の変化をキャッチすること」
――昨年を振り返って、中村社長の中でどんな気付きがありましたか?
「常に世の中がどう変わっているのか」という点を観察し続けることの重要性はあらためて実感しました。特にリーダーやマネジメント層に求められることです。
現代の仕事は複雑で1部門で完結することは少ないです。ある部署のメリットは他部署のデメリットになり得る。今後は、プロジェクトベースで仕事を回す時代がきます。複数部署の精鋭メンバーを集めたプロジェクトチームを作り、全社的な課題を与え、ソリューションを導き出し、実行に移していく。
リーダーたちは、変動する社会の価値観に合わせて自分たちの考え方や価値観を変え、柔軟な思考と手法で対応する必要があります。課題を正しく認識し、ソリューションを考案し、需要を取り込む。プロジェクトを推進する旗振り役に求められる責務は重いです。
それでも取り組む理由は「ビジネスはロマン」だから。仕事は白いキャンバスに絵を描くようなもので、3年後、5年後に自分の部門がマーケットでどのポジションを獲得していたいか、理想の姿を描けないと実現しません。
任された仕事をするだけでは何も変わりません。仕方がないことですが、人間は楽な方に流されていきます。自社の課題を自分ごと化し、前向きに取り組む人材を育てていくこともリーダーたちに求められる仕事だと感じます。
【訂正:2021年7月26日午後12時 初出で「19年11月に開設し」と記載しておりましたが、「20年6月に開設し」に訂正いたします】
関連記事
- 「偶発性を生むオフィスは存在しないが、偶発性を生み出すことはできる」 オカムラ中村雅行社長が明言する理由とは?
新型コロナウイルスによって逆風にさらされていたオフィス関連市場。オフィス家具のオカムラも苦境に陥っていた。しかし、蓋を開けてみると21年3月期の通期連結決算は過去最高益を達成。コロナ禍で新しいオフィス需要を育てたことが功を奏した。アフターコロナのオフィスは「偶発性」がキーワードになるかもしれない。そんな考えを一刀両断するのがオカムラの中村雅行社長執行役員だ。「偶発性を生むオフィスは存在しない」そう話す理由とは? - オープン初月で全店黒字化 24時間無人の古着店「秘密のさくらちゃん」を読み解く5つの秘密
コロナ禍でアパレル企業の業績が落ち込む中、続々と出店数を伸ばしている24時間無人の古着店がある。「秘密のさくらちゃん」だ。2020年1月に1号店を出店し、7カ月で4店舗まで拡大、全店でオープン初月黒字化を達成している。秘密のさくらちゃんを読み解く5つの「秘密」を探った。 - 夢破れた格闘家、年商1億円の社長に NTT東、プリマハムも認めた「儲かる畜産」
格闘家人生を諦めた吉角裕一朗さんは、社長を目指し、地元熊本で2つの事業を立ち上げた。それぞれ年商1億円規模に成長させている。東京で夢破れた若者が、格闘技とはまったく関係のないビジネスの世界でなぜ成功することができたのだろうか。 - 経産省、28社を「DX銘柄2021」に認定 グランプリ企業は?
経済産業省は6月7日、デジタル技術を前提としたビジネスモデル・経営変革に取り組む企業28社を「DX銘柄2021」として発表した。グランプリ企業として選出された2社はどこか?どんな取り組みをしているのか? - 経産省、48社を「健康経営銘柄」に認定 7年連続の企業は?
経産省が健康経営を推進する企業の取り組みを紹介する「健康経営優良法人2021」を発表した。なかでも特に先進的な取り組みを行う企業48社を「健康経営銘柄」として認定した。15年から認定を開始したが、21年まで7年連続で取得している企業はたったの6社。コロナ禍で健康の重要性が見直され、今後も健康経営の動きは加速していくとみられる。各社の動きに注目したい。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.