「オレが若いころは」「マネジメント=管理」と思っている上司が、ダメダメな理由:水曜インタビュー劇場(澤円公演)(1/5 ページ)
「オレが若いころは……」「マネジメントとは管理することだ」といったことを言う上司がいるが、こうした人たちは本当にマネジメントができているのだろうか。日本マイクロソフトで業務執行役員を務めた澤円氏は「そうしたマネージャーは、その職を降りたほうがいい」という。なぜかというと……。
水曜インタビュー劇場(澤円公演):
「仕事の結果がでないなあ。やっぱり、会社の商品が悪いよ」「上司や同僚との関係がうまくいかない。コミュニケーションがうまくとれないのは、相手にも問題があるはず」――。
このような「思い込み」をしているビジネスパーソンも、多いかもしれない。私たちの仕事や生活のなかには、さまざまな思い込みが存在している。できない理由を見つけて、「だから無理なんだよ」といった思考に注意を促している人物がいる。1997年にマイクロソフト社(現・日本マイクロソフト社)に入社して、テクノロジーセンターのセンター長などを務めた澤円(さわ・まどか)氏である。
マイクロソフト社では数多くのプレゼン経験を積み、2006年には世界中の社員の中で卓越した人のみに、ビル・ゲイツが授与する「Chairman’s Award」を受賞。19年10月にコンサルティング業務などを手掛ける「圓窓(えんそう)」を創業した澤氏は、なぜ「思い込み」に警鐘を鳴らしているのだろうか。そして、思い込む前に「あたりまえ」の呪縛から逃れ、「疑う」ことから始めることも大切だと訴えている。
その言葉の裏には、どんな意味が込められているのだろうか。ITmedia ビジネスオンライン編集部の土肥義則が、澤氏に話を聞いた。前後編でお送りする。
→「どうせ無理」と思い込むのではなく、「あたりまえ」を疑うことが大切な理由(前編)
土肥: 澤さんは著書『「疑う」からはじめる。 これからの時代を生き抜く思考・行動の源泉』(アスコム)の中で、「過去のルールや価値観は、絶対に時代遅れになる」と指摘されています。上司の言動に対して、ビジネスパーソンの中には「ああ、この人は成功体験に縛られているなあ」と感じている人もいると思うのですが、この成功体験に縛られていることについてどのように感じていますか?
澤: 若いころの成功体験がいまだに通用するなんて、あり得ないと思うんですよね。その成功体験が100としたら、いまも通用することなんて0.001もないと思う。例えば、1995年、日本でインターネットが普及したわけですが、その前後ではいかがでしょうか。その前の成功体験なんて、ほぼ意味がないですよね。では、2008年に日本でiPhoneが販売されたわけですが、その前後ではいかがでしょうか。スマートフォンの普及によって、その前の成功体験も通用しなくなった部分がたくさんあったのではないでしょうか。さらに、SNSの登場によっても、その前後で大きく変わりました。
もちろん、インターネット、スマホ、SNSがすべて正しいわけではありません。ただ、これらの出来事によって、地球の裏側に住んでいる人たちが何を考えているのかが瞬時に分かるようになってきました。世の中がいわば“リセット”されたにもかかわらず、それ以前の成功体験をいまだに引きずっていて、またそのことに気づいていない上司というのはいかがなものか。
インターネット、スマホ、SNSによって、さまざまな人がいろいろな考えをもっていることが分かってきたのに、そのことを理解しようとせずに人材採用をしようとするとどうなるのか。以前の成功体験を重視して、「履歴書はやっぱり手書きでなければいけない。手書きをみれば、その人の人柄が分かる」といった上司がまだいるんですよね。しかし、本当にそうなのか。手書きによって、その人のどんなことが分かるのか。もし分かるとすれば、その上司は“エスパー”ではないでしょうか(笑)。
土肥: 「マネジメントは管理することだー」といった上司もいますよね。これも成功体験に縛られているのかもしれません。
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