「オレが若いころは」「マネジメント=管理」と思っている上司が、ダメダメな理由:水曜インタビュー劇場(澤円公演)(2/5 ページ)
「オレが若いころは……」「マネジメントとは管理することだ」といったことを言う上司がいるが、こうした人たちは本当にマネジメントができているのだろうか。日本マイクロソフトで業務執行役員を務めた澤円氏は「そうしたマネージャーは、その職を降りたほうがいい」という。なぜかというと……。
危険な上司の特徴
澤: 僕は「管理」という言葉が大嫌いなんですよね。管理はマネジメントのことではないですし、管理職もマネージャーのことではありません。そもそも管理なんてものは人間がやるよりもAIがやったほうが精度が高い。というわけで、いずれ管理職という仕事はAIが取って代わるはず。
ここでやっかいなのは、マネジメント能力がないのにもかかわらず、マネージャーになる人が多いこと。「オレが若いころはこうやっていた。だから、こういうやり方をしろ」といった命令をする上司は非常に危険。こうした発言をすることは、先ほど申し上げたように過去の成功体験に縛られているわけですが、なぜそのことに気づかないのか。
現在、管理職になっている人の多くは、会社に就職して10年、15年が経っているはず。そういう人たちの成功体験は、いつのことなのか。SNSが登場する前、スマホが普及する前の人も多いはず。世の中の価値観が“リセット”されたにもかかわらず、その前の話を持ち出して「オレが若いころは……」といったことを言われても、それは使い物になりません。
土肥: では、マネージャーはどのような仕事をすればいいのでしょうか?
澤: 学校の「学級委員長」と言えば、イメージしやすいのかもしれません。学級委員長だからといってエラいわけではなく、クラスの中の一人の生徒が役割を果たしているだけのこと。司会をしたり、修学旅行のときに点呼をとったりするかもしれませんが、一人の生徒であることに変わりはありません。
このように考えると、学級委員長はエラくはないのに、会社のマネージャーになると「自分はエラい」と勘違いしている人が多い。「オレの言うことを聞かない部下は、失礼な奴」といったワケの分からない定義をして、妙な権威主義が生まれている。でも、これってただの思い込みではないでしょうか。
土肥: 澤さんはマイクロソフトの時代に管理職になられているわけですが、マネジメントはどのようにしていたのでしょうか?
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