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「伝える」と「伝わる」を理解するための図解講義2つの創造が必要(1/4 ページ)

2者間のコミュニケーションにおける「伝える/伝わる」の面白いところは、2つの創造を越えねばならないところです。第1に送り手の「発信・表現」という創造があり、第2に受け手の「受信・読解」という創造があります。送り手側のコミュニケーション技術だけが進んでも、受け手の読解力が育たなければ、豊かで厚みのあるコミュニケーションは生じません。

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著者プロフィール:村山昇(むらやま・のぼる)

キャリア・ポートレート コンサルティング代表。企業・団体の従業員・職員を対象に「プロフェッショナルシップ研修」(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)を行なう。「キャリアの自画像(ポートレート)」を描くマネジメントツールや「レゴブロック」を用いたゲーム研修、就労観の傾向性診断「キャリアMQ」をコア商品とする。プロ論・キャリア論を教えるのではなく、「働くこと・仕事の本質」を理解させ、腹底にジーンと効くプログラムを志向している。


 いまあなたの手にはおまんじゅうが1個あります。これをほかの人にあげたいなら、「はい、どうぞ」とそれを手渡しするだけで完了です。ところが、いまあなたの考えていることをほかの人に伝えたいと思うなら、そう簡単にはいきません。「伝える」とは、自分の内にある考えや思い、それに帯びるエネルギーを他者に届けることです。

 コミュニケーションの難しさを体感する遊びとして「伝言ゲーム」があります。オリジナルのメッセージをいかに正確に隣人に届けていくか。メッセージの伝達は物の受け渡しと違い、その都度その都度に、メッセージを受け手の頭の中に生成させなければなりません。そこが難しいところです。

 「伝える/伝わる」ことを概括する図を下に示しました。「伝える」ことの成功は、(1)「送る内容」と(8)「つかむ内容」がほぼ一致することにあります。そのために、送り手はどう表現しようか、どんな情報にまとめようか、どんなメディアを使おうか、文脈はどうか、相手の反応はどうか、などを考慮します。

 では、その「伝える/伝わる」プロセスを図にそって詳しくみていきましょう─―。

(1)「送る内容:メッセージ」が送り手の内に生じる

 送り手はそれを(2)「発信する」。発信はさまざまな表現形態をとる。言葉で言ったり、書いたり、絵を描いたり、無言でにらめつけたり。これが「第1の創造」。

 発信(表現)されたものは(3)「情報」となって送り出される。

 情報を送り届けるために、さまざまな(4)「チャネル・メディア」を用いる。チャネル(経路)は例えば、「直接対話」「テレビ放送」「著書出版」「ネット告知」など何を通じて伝達するか。メディア(媒体)は例えば、「本」「CD/DVD」「新聞」など何に内容を収めて伝達するか。

 受け手はチャネル・メディアに乗った情報を(5)「受信する」。受信は送り手からの情報を読み解く作業であり、理解、把握、解釈、推測、察知など。これが「第2の創造」。

 受け手は受信するさなかに、さまざまな反応をみせる。その〈6〉「フィードバック」は送り手に影響を与える。

送り手と受け手のやりとりの背景には(7)「文脈」がある。

こうした過程を経て、受け手の内に(8)「つかむ内容」が生じる。

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