小判、ギョーザ、からあげクン オリンピック効果に沸いた“注目”商品とは:長浜淳之介のトレンドアンテナ(7/7 ページ)
東京オリンピックが終わった。オリンピックに関する商戦や経済効果はどうだったのか? 選手村で絶賛されたギョーザや、コンビニだけではない“注目”商品とは。
日本の「コンビニ」に驚く
海外の記者たちは、今回は外食にも行けなかったが、代わりに発見されたのが、宿泊しているホテルの近くにあるコンビニだった。日本のコンビニは実際に使ってみると非常に便利で、品ぞろえが豊富。商品のレベルも高いことが、報道やSNSで繰り返し発信された。
「海外におけるコンビニのイメージは、ガソリンスタンドに併設された緊急購買のようなイメージ。ところが、日本のコンビニではカップラーメン1つとってもいろんな種類がある。チルド飲料も無糖、微糖とそろっている。海外の人には大変な驚きだったようだ」と、実際に取材に同行したローソン広報部の持丸憲氏は語る。
これまで、海外から来た人が日本に抱いているイメージは、寿司、天ぷら、ラーメンだった。しかし、コンビニとそこに売っているカップ麺、コーヒー、お菓子、おにぎり、から揚げなどにも関心が向けられたことは、日本の食産業にとって必ずプラスになると思う。
セブンでは、海外の人の間で「おにぎりの開け方が分からない」と話題になっていたことを受け、動画を作成。公式twitterに掲載した。このような細かな情報発信が喜ばれるのではないか。日本のコンビニのおにぎりが、世界に広まる日は近いのかもしれない。
以上のように、東京オリンピック開催でさまざまな発信が行われた。一方、東京都などの緊急事態と無観客開催で、夜8時までの営業とお酒の提供禁止を余儀なくされた外食(テークアウトに強いハンバーガーなどを除く)、とりわけ居酒屋や観客を迎えようとしていたホテル、旅行業、鉄道・航空・バスなどの交通機関にとっては厄災だった。「K字」と言われるコロナ禍独特の経済回復の格差が、オリンピックで助長されたのは否めない、負の一面もあった。
著者プロフィール
長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)
兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。共著に『図解ICタグビジネスのすべて』(日本能率協会マネジメントセンター)など。
関連記事
- レゴランドってそんなにひどいの? 家族を連れて行ってみた
「隣接する商業施設からテナントが撤退」「水筒の持ち込み禁止」などのニュースで注目を浴びているレゴランド。ネット上では酷評する声もあるが、実際はどうなのだろうか。記者が家族を連れて遊びに行ってみた。 - スシローとくら寿司 「価格帯」と「シャリ」から見えた戦略の“決定的”な違いとは
大手回転寿司チェーンのスシローとくら寿司。標準的な寿司の重さはほぼ一緒。しかし、価格とシャリの違いから戦略の違いが見えてきた。 - 「100円×3個=301円」問題でセブンが公式に謝罪 見習うべきは「イオン方式」か
「税込100円×3個=301円」問題で混乱が起きたセブン。お客が困惑した根本原因は事前告知が不足していたことだ。ただ、イオンが採用する価格表記を採用する道もあったかもしれない。 - 救世主は「ハンバーガー」!? 松屋、鳥貴族、ロイホが続々と参入するワケ
外食大手が続々と「ハンバーガー」に参入している。コロナ禍で生き抜くために各社知恵を絞る。その背景とは? - 「生ビール190円」の原価率は85%? お客が3杯飲んでもしっかり利益が出る仕組みとは
「生ビール1杯190円」という看板を見かける。安さでお客を引き寄せる戦略だが、実は隠されたメリットもある。どんな狙いがあるのか。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.