キャッシュレス化のカギはクレカ! お店を悩ます「加盟店手数料が高い問題」を考える:海外の動向は?(2/4 ページ)
日本はキャッシュレス化が遅れている。カギとなるのはクレジットカードだ。ネックとなる“加盟店手数料が高い問題”とは?
クレジットカードの手数料問題
一般消費者がクレカを利用する小売・サービスの店頭において、もっともよく聞くのが「カード会社に支払う手数料が高い」という話です。事業者は顧客の購入機会を増やすために利用環境を整えるのですが、利用機会増大と併せて手数料の額も増えていきます。その手数料率は事業者により差があるのですが、平均で3.25%程度とされています。
お金の流れを分かりやすく説明すると、次のようになります。
(1)消費者が買い物をした際に自分のカードで決済すると、店舗の契約するカード会社が消費者の契約するカード会社に支払います。
(2)商品代金の請求は消費者側のカード会社が立て替えます
(3)店側のカード会社を通じて店に代金が支払われます
カードの利用時、私たちが店にお金を支払っているような感覚がありますが、実際はカード会社間で融通し合って店に支払っているのです。そこで間を取り持つ役割のカード会社では「カード会社間手数料(インターチェンジフィー)」を設定し、その分を含めた手数料を加盟店から徴収しています。
さらに、カード会社では、銀行振込手数料(400円/1回)やネットワーク利用料、伝票保管料(7円/1件)などの経費がかかります。こうした経費を吸収できるような手数料設定になっているのです。
この手数料が中小小売店の負担となっています。特にコロナ禍においては、こうしたお店は1円でも支払いを少なくしたいと思っています。だからこそ今、クレカの手数料は検討すべきテーマなのです。
カード会社間手数料は2.3%とされています。しかし、これはあくまでも経済産業省の試算した数字。実際には公開されていません。
このまま実態が分からなければ店舗が重い負担に苦しむ状態が続き、クレカ利用を避ける動きが出てこないとも限りません。実際に小規模な企業ではクレカの利用を取りやめたり、カード決済以外の利用を勧めたりするような光景を目にすることもあります。それだけ毎月支払う手数料負担が大きいということです。
このままではキャッシュレス化が進まないと見て、経産省は公正取引委員会と連携し、国際カードブランド各社に対して手数料開示に向けた働きかけを強めています。今後、何らかの進展があるでしょう。
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