莫大なカネを生む「カジノ」が、日本で“オワコン”になった3つの理由:スピン経済の歩き方(1/6 ページ)
日本のカジノに逆風が吹いている。菅義偉首相のお膝元で、大本命とされていた「横浜カジノ」が完全消滅しただけでなく、この動きは他の候補地にも広がろうとしている。反カジノ派の声が強くなれば、どうなるのかというと……。
日本のカジノに大逆風が吹いている。
まず、カジノ旗振り役の菅義偉首相のお膝元ということで本命と目されていた「横浜カジノ」が完全消滅した。先日の横浜市長選で、IR(カジノを含む統合リゾート)誘致の白紙撤回を公約に掲げていた山中竹春氏が、カジノ推進派に大差で勝利を収めたからだ。
これを受け、IR誘致を表明している自治体でカジノ反対運動が勢いづいている。首相とツートップでIRを進めてきた二階氏の地元、和歌山市でも住民投票を求める署名活動が近くスタートする。IR設置運営予定者をオーストリア企業に決めた長崎でも、選定プロセスが不透明だなどと反対の声が上がっている。
この反カジノ運動は横浜と並んで本命視されていた大阪・夢洲にまで及ぶ恐れもある。夢洲カジノ構想は橋下徹氏の時代から目玉政策で、大阪維新の会の天下が続く限り安泰とされている。それもあって、現在はMGMリゾーツとオリックスの共同グループと大阪府・大阪市が手を取り合って、28〜30年ごろまでに開業にこぎつけようとしている。
が、国内であまりに反カジノの機運が高まれば、MGM側が「やっぱ進出やめますわ」という感じで、サクッと日本撤退を表明してしまう恐れもあるのだ。
21年1月、MGMはオンラインカジノを共同運営している英企業・エンテインに対し110億ドル(約1兆2000億円)での買収を提案した。結局、この交渉は成立しなかったが、MGMがリアルカジノからオンラインカジノへ軸足を移そうとしているのは明らかである。つまり、カジノ未開拓国への進出というリスキーな事業からさっさと撤退して、オンラインへ経営資源を集中すべしという判断になることも十分あり得ることだ。
実際、日本から撤退した世界最大規模のIR事業者、ラスベガス・サンズも今年3月、マカオやシンガポールなどアジア事業やデジタル分野へ経営資源を集中するということで、ラスベガスのIR「ベネチアンリゾートラスベガス」などをファンドに売却した。このIRは多くの映画で舞台にもなっている、ラスベガスのシンボル的な存在である。
MGMが似たような経営判断にならない確証はどこにもない。
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