トイレの個室に「使用時間」を表示 で、どうなったのか?:「実証実験」の結果(1/4 ページ)
首都圏のオフィスで、ある「実証実験」が行われた。トイレの個室に「他の個室の使用状況」と「滞在時間」を表示したところ、どういった効果があったのだろうか。システム開発を手掛けているバカン社の河野社長に話を聞いたところ……。
そわそわそわそわ――。
外出先のトイレで、このように感じたことがある人も多いはず。国土交通省が実施した調査を見ても、外出先のトイレで重視することとして「混雑がないこと」(8.7%)が2位にランクイン。不満の項目に目を向けると、商業施設、空港、PAなどで「利用するために行列に並ばなければいけない」を挙げる人が最も多いのだ。
日本のトイレはキレイになった。和式ではなく洋式が増え、温水洗浄便座を設置しているところも増えてきた(家庭での普及率は8割を超えている)。トイレの入口には扉がなく、手を洗うときも自動で水が出てきて、なにかに触れることが少なくなった。
こうした状況なので、海外に行ってトイレを使うたびに「ああ、やっぱり日本っていいなあ」としみじみ感じるわけだが、そわそわそわそわ問題はほとんど手をつけてこなかったのではないだろうか。いや、あれこれ試してはいるものの、いまの状況を考えると、うまくいっているとは思えない。
「そんな課題を解決しよう」といった動きが、ぽつぽつ出ている。個室の利用状況を確認できるサイネージを設置したり、スマホのアプリで把握できたり。さまざまなサービスが出ているが、個人的に気になっているのはバカン社(東京都千代田区)が提供している「VACAN AirKnock(バカン エアーノック)」(以下、エアーノック)だ。
なぜこのサービスに注目しているのかというと、混雑状況の情報を誰に発信しているのかに違いがあるから。サイネージやアプリなどで確認できるのは「これから利用しようとしている人」だが、同社のサービスは「これから利用しようとしている人」だけでなく、「いま利用している人」に向けても届けているのだ。
どういった仕組みなのかというと、手のひらサイズに収まるセンサーをトイレの扉に設置して、誰もいなければ「空き」、誰かいれば「使用」といった具合に検知する。こうした混在状況が分かるサービスも提供しているが、個室内の壁面に設置されているタブレット端末にも表示されるようにしたのだ。そのサービスが「エアーノック」である。
例えば、使用しているトイレ内に個室が5つあって、そのほかの個室が空いていれば「空いています 残り個室2/5」といった文言が映し出されるのだ。すべて利用されていると、「満室になりました 残り個室0/5」のほかに、「現在の滞在時間 60分以上」などと表示される。
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