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莫大なカネを生む「カジノ」が、日本で“オワコン”になった3つの理由スピン経済の歩き方(3/6 ページ)

日本のカジノに逆風が吹いている。菅義偉首相のお膝元で、大本命とされていた「横浜カジノ」が完全消滅しただけでなく、この動きは他の候補地にも広がろうとしている。反カジノ派の声が強くなれば、どうなるのかというと……。

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パンデミックに弱い

 そこに加えて、IRがオワコンである最たる理由が、(3)の「パンデミックへの弱さ」だ。

 どれだけ感染対策を徹底しても、感染者が急増すればどうしても、ホテルや大型施設は休業や営業停止に追い込まれてしまう。超巨大施設であるほど維持費が莫大にかかるので、それが長引けば長引くほどダメージは大きい。

 だから、先ほども紹介したように、サンズやMGMというIR事業者は続々とオンラインへとかじを切っているのだ。

 このように「パンデミックに弱いカジノ」が、大金を注ぎ込んで日本へ進出することは自殺行為といってもいい。今回の1年半あまりで、実は日本経済がパンデミックに異常に弱いことを露呈しているからだ。


カジノはパンデミックに弱い(出典:ゲッティイメージズ)

 これまで繰り返し指摘されているように、日本のコロナ感染者数・死者数は欧米のそれと比べるとケタ違いに少ない。しかし、経済的ダメージは欧米よりも深刻だ。

 例えば、米国の4月から6月のGDPは実質の成長率が年率換算で前期比プラス6.5%と、4四半期連続のプラス成長となった。ワクチン接種の進展と大型の経済対策が功を奏して、個人消費が2ケタの伸びを見せ、GDPの規模はコロナ禍前の19年10月から12月の水準を上回って、過去最大となった。

 ユーロ圏も同様で、ドイツが6.1%増、フランスが3.8%増、イタリアが11.1%増、英国も20.7%増と、経済活動再開で、個人消費が好転している。

 では、日本はどうかというと、8月16日に内閣府が発表した4月から6月のGDPの速報値は実質プラス0.3%。これを年率換算すると、プラス1.3%。完全に置いてけぼりだ。

 これほどの格差は、ワクチン接種の遅れだけでは説明がつかない。コロナ以前から日本はずっと低成長が続いており、その経済の弱々しさにコロナがトドメを刺した形なのだ。

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