コンビニの攻勢で菓子店が減っているのに「シャトレーゼ」は大躍進 コロナ禍で発揮した強みとは?:長浜淳之介のトレンドアンテナ(1/5 ページ)
菓子チェーン「シャトレーゼ」の業績が好調だ。新たに展開したプレミアムブランド「YATSUDOKI(ヤツドキ)」も貢献する。少子化やコンビニの攻勢といった“逆風”を跳ね返している要因は?
菓子チェーン「シャトレーゼ」の業績が好調だ。シャトレーゼホールディングス(甲府市)の連結売上高は、2021年3月末で約860億円。19年の約662億円から200億円近くも伸びており、コロナ禍にもかかわらず、勢いがむしろ加速しているほどだ。15年の年商は約540億円だった。店舗数は約600店を数える。
この背景として、従来のシャトレーゼに加えて、新たに展開したプレミアムブランド「YATSUDOKI(ヤツドキ)」の貢献が大きい。ヤツドキは19年9月、東京・銀座に1号店をオープン。八ヶ岳の厳選された素材にこだわったコンセプトが支持され、首都圏と関西を中心に19店舗にまで増えた。
当初は銀座、青山、白金台などといった東京都心のプレミアムなイメージが高い場所を選んで出店していた。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大で、生活者が自宅付近で消費する傾向が高まったため、通行量の多い駅の近くも選択肢に入ってきている。今年1月にオープンした吉祥寺店などはその典型的な例だ。
街のケーキ屋を始めとするスイーツショップは、子どもの数が減り、しかもコンビニ各社がスイーツを充実させてきたため、苦戦を強いられている。コロナ禍を機に、ますます街から姿を消している。
総務省統計局が発表している2020年家計収支の概況(二人以上世帯)によれば、菓子類の消費は月平均で7128円となっており、1年前から2.2%減っている。食料カテゴリーでは、外食の26.7%減はステイホームの影響が顕著だ。一方、酒類13.6%増、肉類10.9%増、油脂・調味料9.4%増、野菜・海藻8.4%増、乳卵類7.6%増など、他の内食にかかわる項目が軒並み伸びている。外食を除いて唯一減っている項目が菓子なのだ。
そのような厳しいスイーツの消費環境にあっても、集客が衰えないのが、シャトレーゼの凄さである。ヤツドキを中心にシャトレーゼの好調の秘密に迫ってみたい。
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