吉野家とすき家の「牛丼並盛」に、37円の差がある意味 コロナ禍で明暗を分けた戦略を読み解く:飲食店を科学する(1/4 ページ)
コロナ禍でも牛丼チェーン大手のすき家が善戦している。一方、吉野家はすき家と比べて苦戦している。メニューの価格から戦略を読み解くと……
飲食店を科学する:
【飲食店コンサルタントが解説】立地、メニュー数、原価率、回転率、利益率―飲食店の経営には、数字やロジックを積み上げて戦略を練る作業が欠かせない。人気になっているチェーン店や、すっかり定着しているが業態の裏側にあるノウハウを分析していく。
飲食店コンサルタントの三ツ井創太郎です。外食業界は長引くコロナ禍や緊急事態宣言の延長で大変厳しい状況が続いています。そんな中、大手牛丼チェーン「すき家」などを展開するゼンショーホールディングス(HD)の2022年3月期第1四半期(21年4〜6月)決算が発表されました。その結果は、売上高1526億円(前年同期比18.9%増)、営業利益28億円(前年は46億円の赤字)という好業績でした。
今回はコロナ禍における牛丼チェーンの動向について分析をしていきたいと思います。
まず、牛丼チェーンを展開している大手3社の今年の第1四半期決算を見ていきます。
ゼンショーHDは売上高1526億円、営業利益28億円でした。業界2位の吉野家HDは売上高364億円、営業利益は2億円の赤字となりました。松屋フーズHDは売上高225億円、営業利益は8億円の赤字となっています。
各社、牛丼以外の業態を含んだ決算ではありますが、ゼンショーHDのみが営業黒字という結果でした。
次に、各社の牛丼ブランドにおける直近4カ月間の売り上げ動向を見ていきます。
すき家の既存店売上高前年対比は上期累計(21年4〜7月)で売上高112.2%、客数109.6%、客単価102.3%と全ての指標が前年を上回っている状況です。
吉野家は売上高94.7%、客数91.0%、客単価104.0%と客数の低下を客単価でカバーすることができませんでした。そのため、売上高が94.7%と前年を下回っている状況です。
松屋は売上高103.5%、客数97.9%、客単価105.7%でした。客数の低下を客単価でカバーし、売上高は前年を上回っています。
業界1位、3位が前年を上回る中で、2位の吉野家のみが前年を割り込みました。業界1位のすき家と2位の吉野家の明暗を何が分けたのでしょうか?
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