ニュース
松屋の魅力は券売機!? 人手不足時代に吉野家とすき家が導入しない理由とは:日高屋も試験的に導入(1/4 ページ)
大手牛丼チェーン3社のうち券売機を導入しているのは松屋だけだ。生産性向上の切り札である券売機を吉野家とすき家は導入していない。各社に見解を聞いてみた。
「食券制が松屋の魅力」「会計を待たなくていいから、食べ終わったらすぐ帰れる」――こんな基準で牛丼チェーンを選ぶ人もいるのでは。
松屋はほぼ全店で券売機を導入しているのに対し、吉野家とすき家では店員が注文を聞いて会計も行うスタイルにこだわっていた。また、大手ラーメンチェーンの日高屋が券売機の導入を本格的に進める方針を打ち出している。
外食チェーンにとって、券売機とはどのような存在なのだろうか。
券売機のメリットとデメリット
券売機を導入する一般的なメリットとデメリットはなんだろうか。飲食店コンサルタントで、スリーウェルマネジメントの三ツ井創太郎社長は次のように指摘する。
券売機導入のメリット
- 従業員の不正を防止できる
- 釣銭の渡し間違えを防止できる
- レジ業務が不要になり、人員の効率化が図れる
- ボタンの配置や位置などによってオーダーコントロール(セットメニュー誘導による客単価アップ)ができる
- お客が自分で商品を選ぶため、オーダーミス(聞き間違い)を防止できる
- 販売データが取得できるため、さまざまなマーケティング分析が可能になる(POSレジがあれば券売機でなくても可能)
券売機導入のデメリット
- 会計業務がないため、顧客接点が減り、サービス力の低下が懸念される
- 前会計のため、ピークタイムには券売機前の渋滞が発生し、機会ロスにつながる恐れがある(店内が混んでいると勘違いされる)
- 導入コストが掛かる
- 追加オーダーを獲得することが難しい
また、三ツ井氏は券売機が向く業態と向かない業態があると指摘する。
「ラーメン、かつ丼、牛丼など追加オーダーがない業態は券売機との親和性が高いです。一方、居酒屋やレストランのように、ドリンクやデザートなどの追加オーダーを獲得することで客単価アップを実現している業態は、券売機が向きません。接客力に対しての期待値が高い業態でも、券売機は向きませんね」
関連記事
- なぜ「スガキヤ」は中京圏で繁栄した? 「だし」の哲学と強固なビジネスモデル
中京圏で熱烈に愛される「スガキヤ」。ラーメンとソフトクリームの2枚看板で成長してきた。地元で熱烈に支持される理由とは? - レゴランドってそんなにひどいの? 家族を連れて行ってみた
「隣接する商業施設からテナントが撤退」「水筒の持ち込み禁止」などのニュースで注目を浴びているレゴランド。ネット上では酷評する声もあるが、実際はどうなのだろうか。記者が家族を連れて遊びに行ってみた。 - 380円の“高級”牛めしを推す松屋が320円の牛めしをあえて温存するワケ
松屋は380円のプレミアム牛めしを推進している。320円の牛めしを販売する店舗は首都圏を中心に減りつつある。しかし、松屋は320円の牛めしを販売する店舗をあえて残している。なぜなのか。 - 戦う相手が強すぎて衰退した東京チカラめし
急速に店舗数を増やして大いに注目された東京チカラめし。しかし、衰退するのも早かった。理由として「店舗の急拡大にオペレーションが追い付かなかった」「店舗の清掃が行き届いていなかった」などが挙げられるが、本当にそれだけが原因なのだろうか? - スシローの進化についていけなかったかっぱ寿司
かつて業界をリードする立場だったかっぱ寿司が、競合他社に次々と追い抜かれている。逆転を許してしまった背景にはいったい何があるのだろうか。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.