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“世界同時ヒット”は実現するのか 「MANGA Plus」が海外でウケている理由ジャーナリスト数土直志 激動のアニメビジネスを斬る(6/7 ページ)

2019年1月にスタートした、集英社の「MANGA Plus」が躍進している。雑誌に掲載されている漫画を、海外でも読めるようにしたわけだが、どのような特徴があるのか。「少年ジャンプ+」の副編集長に話を聞いた。

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デジタルで変わる漫画ビジネス

――海外における日本漫画の状況はポジティブに見ていますか、あるいはネガティブですか?

籾山: 両方あります。ポジティブなのは、海外では映像配信サービスで日本のアニメがかなり見られ、アニメをきっかけに漫画が売れやすくなっていることです。日本の漫画は面白さや、レベルの高さがあるので、読んでもらう環境さえ整えれば、さらに広がるはずです。

 MANGA Plusに関しては、日本と同時に連載の人気が広がることを期待しています。国や地域によっては、これまで日本から1〜2年遅れて、紙の単行本が発売になる状況で、しかも一冊かなりの値段でしか正規で読むことができないケースも珍しくはありませんでした。MANGA Plusなら日本と同時に読者が盛りあがることができる。連載を追うのは面白いので、話題になります。リアルタイムでライブ感を持てる点で、漫画の楽しみ方の幅が広がりますよね。

 ネガティブな面は、国・地域ごとにサービス運営に関するリソース不足、そしてセンサーシップ(検閲)もいろいろと違います。そのへんの知見は、まだまだ足りていません。また、デジタルにおいて読者、作品、作家さんにとって一番望ましいのは何なのか考えると、既存のビジネスモデルとの調整も必要で、そこはスピード感が出しづらいです。

――日本以外での動き、例えば、タテヨミマンガで急速に広がる韓国のWEBTOONなどはどう分析されますか?

籾山: 関心や意識は強くあります。裾野を広げたいというのがMANGA Plusを始めた一つの理由ですが、WEBTOONはまさにライトなユーザー、読者が読んでいる。ただ「脅威に感じるか」「ライバルと思うか」とは違います。コンテンツの傾向は違っていて、それぞれが別々に最適になっていると思うのです。

――デジタル化で漫画のグローバルマーケットは、変わりましたか?

籾山: 世界中で同じ時刻に漫画連載を楽しめるのは、デジタルがあるからですよね。漫画には読者の反応と同時に作品を育てていく機能があって、それが日本だけでなく海外も含めた反応でできる可能性があります。

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