“世界同時ヒット”は実現するのか 「MANGA Plus」が海外でウケている理由:ジャーナリスト数土直志 激動のアニメビジネスを斬る(7/7 ページ)
2019年1月にスタートした、集英社の「MANGA Plus」が躍進している。雑誌に掲載されている漫画を、海外でも読めるようにしたわけだが、どのような特徴があるのか。「少年ジャンプ+」の副編集長に話を聞いた。
MANGA Plusに求められる役割
――海外における日本の漫画は、10年後にどう変わっていると思いますか?
籾山: 期待はあります。コミックス市場の中で海外売上が占める割合は、肌感覚で10〜20%くらいと思っています。海外でデジタルの漫画を届ける環境が整えば、10年後くらいには、海外と国内の売り上げが半々になっているかもしれません。
――そうなると、各出版社にとって海外は重要なビジネスになってきます。
籾山: はい。これと近いなあと思うのが、僕が国内で『週刊少年ジャンプ』のデジタル展開に携わり始めたときの経験です。スマートフォンのサービスが始まったころ、デジタルの存在感はまだ弱かったのですが、一気に変わった印象を受けています。
あと、自動翻訳のクオリティーはまだ低いですけれど、10年経てばあがります。いまは翻訳コストがすごくかかっていて、同時配信も大変なんです。いろんな言語でクオリティーの高い翻訳ができると、またいろいろ変わります。
――最後にグローバルで漫画ビジネスが変わる中で、MANGA Plusに求められる役割は何ですか?
籾山: 僕らの仕事は漫画家さんと読者をつなぐことです。読者が面白い漫画を読みたいという思いと、マンガ家さんが自身で描いた作品を多くの読者に楽しんでもらいたいという思い、それらをつなぐことだと思っています。そうしたつながりを海外も含めて、読者と漫画家さんに貢献できるようになりたいです。
MANGA Plusをきっかけにヒット作を生めるような環境を用意して、世界の読者と世界の描き手をつなぐような役割を果たせるといいなあと思っています。
数土直志(すど・ただし)
ジャーナリスト。メキシコ生まれ、横浜育ち。アニメーションを中心に映像ビジネスに関する報道・研究を手掛ける。証券会社を経て2004 年に情報サイト「アニメ!アニメ!」を設立。09年にはアニメビジネス情報の「アニメ! アニメ! ビズ」を立ち上げ編集長を務める。16年に「アニメ! アニメ!」を離れて独立。主な著書に『誰がこれからのアニメをつくるのか? 中国資本とネット配信が起こす静かな革命』 (星海社新書)。
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