「女性だからではなく実力で選べ!」が、日本企業の競争力を低下させているワケ:スピン経済の歩き方(4/6 ページ)
女性管理職の平均割合は8.9%で過去最高――。とはいえ、海外に比べると、まだまだ。なぜ日本企業は女性活用が進まないのか。
社内のアウェー感
安倍政権が掲げたような「女性管理職比率3割」が実現して、このひどい有様ならば、先のYahoo!ファイナンスの相談にあったように、「女性優遇制度ばかり増やした矛盾で国が衰退」と言えるだろう。
しかし、現実の日本は「性別ではなく実力で選べ!」の大合唱の中で、女性管理職比率は10%程度に、国会の女性議員も10%未満ということで、ビタッと固定されている。ジェンダーギャップ指数などで見れば、イスラム世界とほとんど変わらない水準だ。にもかかわらず、競争力、所得ともにじわじわと低下している。
つまり、多くの日本人が考えていることが実は「逆」なのだ。「女性を優遇したら国が滅ぶ」ではなく、「女性の実力を発揮できるように優遇しない国が滅ぶ」のだ。
では、そこで次に気になるのは、具体的にどうすればいいのかということだ。これまで政府が「女性活躍」「女性管理職比率3割」を呼びかけても、企業側は「有能な女性人材がいない」「女性だからと管理職に引き上げると本人も嫌がる」という言い訳でスルーしてきた。遠回しに「女性は無能で向上心がない」とディスって、女性側に原因があると主張してきた。
ただ、実際に女性の声に耳を傾けて見れば、原因は企業や社会側にあるのは明らかだ。
仕事と家庭の両立を希望する主婦・主夫層の実情や本音を探る調査機関『しゅふJOB総研』が、主婦層を中心とする就労志向の女性にアンケート調査を実施したところ8割が、女性管理職の割合が少ないと考えており、多くの人がその理由をこう回答した。
「結婚や出産で続けづらい雰囲気」(81.1%)(出典:しゅふJOB総研)
男性管理職の場合、結婚しても家事・育児をパートナーに丸投げできる。ゴミ出しと洗い物くらいで「イクメン」などと世間もチヤホヤしてくれる。しかし、女性管理職はそうはいかない。結婚や出産で家事・育児負担が爆発的に増える中で、部下のマネジメントなどをしなくてはいけない。つまり、女性管理職は結婚や出産をした途端、ブラック企業へ転職したような過重労働に陥るのだ。
「女性管理職は部下を潰す」「やっぱ女性は感情的だ」なんて陰口もある。こういう「社内のアウェー感」に参って、管理職になることを拒んだり、心がポキンと折れたりして会社を辞めてしまう女性も多いのだ。
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