米国人に「印象が良い」日本企業は? イメージランキングの結果が興味深い:世界を読み解くニュース・サロン(5/5 ページ)
米国のニュースサイト「Axios(アクシオス)」と米調査会社ハリス・ポール(HarrisPole)が発表した「Axios Harris Poll 100」の結果が興味深い。米国民の間で良い印象を受けているのはどんな企業なのか。上記企業に共通するのは……?
上位企業に共通するキーワードは「環境問題」
企業の成功の鍵となるのは、なんといってもイメージ戦略である。それにはメディア対策がかなり重要になる。98位に沈んでいるフェイスブックは、17年は66位、18年は51位、19年は94位、20年は97位と推移してきた。少しずつ順位を落としているが、最近もさらにメディアで叩かれまくっている。
例えば米ウォールストリート・ジャーナル紙は、知名度の高いユーザー約600万人に、投稿ルールに違反しても不問にする特別扱いをしていたと暴露し、iPhoneの仕様変化でフェイスブックの広告ターゲティング事業が脅かされているといった記事も出している。既に述べた通り人種差別への配慮も遅いと指摘されており、ここのところイメージがどんどん落ちているようだ。
こうした企業からは学べることもあるだろう。ぜひフェイスブックにはこれから名誉挽回をしてもらいたいところだが、同時に企業も反面教師として同社が批判されている部分を参考にしていくことが大事だ。ランキングを分析すること自体、有意義だろう。
ランキング上位の企業を見ると、やはり企業イメージ向上の鍵となるのは環境問題のようだ。日本もこれからそうなるのではないだろうか。過去を見る限り、米国のトレンドは少し遅れて日本にやってくる。注目しておいたほうが良さそうだ。
筆者プロフィール:
山田敏弘
ジャーナリスト、研究者。講談社、ロイター通信社、ニューズウィーク日本版に勤務後、米マサチューセッツ工科大学(MIT)でフェローを経てフリーに。
国際情勢や社会問題、サイバー安全保障を中心に国内外で取材・執筆を行い、訳書に『黒いワールドカップ』(講談社)など、著書に『ゼロデイ 米中露サイバー戦争が世界を破壊する』(文藝春秋)、『モンスター 暗躍する次のアルカイダ』(中央公論新社)、『ハリウッド検視ファイル トーマス野口の遺言』(新潮社)、『CIAスパイ養成官 キヨ・ヤマダの対日工作』(新潮社)、『サイバー戦争の今』(KKベストセラーズ)、『世界のスパイから喰いモノにされる日本 MI6、CIAの厳秘インテリジェンス』(講談社+α新書)がある。
Twitter: @yamadajour、公式YouTube「SPYチャンネル」
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