キャッシュレス決済が顧客体験向上を生み出す──CRISP宮野代表に聞く:サラダ専門店(4/11 ページ)
“コネクティッド・レストラン”の構築を目標に2014年に起業されたCRISPは、セルフレジシステムの活用、グループオーダー、サブスクリプションと拡大を続け、同社製のセルフレジシステムは他社への販売も行う。顧客接点の作り方や、テクノロジーを活用したサービス向上の手法、将来の展開などを宮野浩史社長に聞いた。
キャッシュレス決済のメリットは、現金をやり取りしないことによる省力化よりも、「顧客体験の向上」にある宮野氏は語る。
「私は、飲食店の唯一の競争優位性は『顧客体験』だと思っているんです。飲食店にはおいしい料理などの『商品力』、内装や業態などの『業態力』、そして『接客力』の3要素があるといわれています。
しかし今は、おいしくないお店なんてほとんどありませんので、もはや最初の2つは競争優位性にはならない。全体の顧客体験をどう作っていくかが、お客様がおいしいと思ったり、『この店は良かったな』と思うことにつながると思っています」(宮野氏)
とはいえスタッフは、店内でのさまざまな作業に追われて、顧客体験向上につながる接客を密に行う余裕はない。
「追われている作業をよく見ると、人間じゃなくてもできることがたくさんあります。その1つが注文や会計ですし、ただ料理を作ることもそうかもしれません。人にしかできないことは、この前も来てくれましたよねとか、今日のネクタイかっこいいですねとか、そういう何気ない会話にあります。それがおそらくお客様の体験にもつながると思うんです」(宮野氏)
そして、接客の質を向上するためにも、キャッシュレスが重要だと宮野氏は語る。
「キャッシュレス決済をとおしてやりたいのは、お客様のことを知ることです。よく高級ホテルのサービスは最高などといわれますが、一度だけのご利用ではお客様のことは分かりません。でも何回も行くとそのすごさが分かるわけです。そういう顧客体験を提供するにはお客様の情報が大切なのですが、現金では情報を蓄積しづらい。そのため、お客様が自然と情報を出してくれるアプリ登録やカード決済といった形式を採用しています」(宮野氏)
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