日本端子に学ぶ、中国進出企業はネットで叩かれないため何をすべきか:スピン経済の歩き方(1/6 ページ)
「日本端子」が叩かれている。同社はコネクタや圧着端子の製造販売をしていて、河野太郎氏が株を保有し、弟・二郎氏が社長を務めている。そのため、ネット上では批判が殺到していて……。
「日本端子」が叩かれている。
コネクタや圧着端子の製造販売をしている同社は、河野太郎氏が株を保有し、弟・二郎氏が社長を務めている。そして、中国本土に2つの子会社を持つ。そのため、ネット上では「河野一族が中国共産党に媚(こび)を売って、太陽光発電利権を得るための会社」だと批判が殺到。アクセス集中でWebサイトが一時閲覧不能に陥り、マスコミも自民党総裁選の「争点」として以下のように追及を始めた。
「総裁選ドキュメント 河野氏、親族企業による対中政策影響を重ねて否定」(産経新聞 9月26日)
愛国心あふれる方たちや、ジャーナリストの皆さんが同社を「中国共産党と関係が深い」とする根拠は大きく分けると以下の2つだ。
疑惑(1):太陽光利権
同社のコネクタや端子は太陽光発電用の機器にも使われており、中国の太陽光発電の企業にも部品を供給している。そういう利害関係があるので、河野氏が首相になったらファミリービジネスのため、露骨な親中政策を取る恐れがある。
疑惑(2):出資比率で破格の特別待遇
中国に外資が進出すると通常は中国側が51%以上の資本出資となるのに、同社の北京の会社は中国側の出資が40%にとどまり、日本側の出資が60%にも達している。また、江蘇省の会社は日本単独出資100%。このように「破格の特別待遇」を受けているのは、河野ファミリーの中国共産党への貢献が認められたからだ。
……と聞くと、「どこからどう見ても真っ黒だ! 中共の手先を許すな!」と怒りでわれを忘れてしまう方もたくさんいるだろうが、実際に中国に進出している企業、特に部品メーカーなどB2B企業のみなさんの中には「おいおい、こんなモヤッとした話で中国共産党とズブズブにされちゃうのかよ?」と背筋が冷たくなった方も多いのではないか。
日本端子関係者や中国進出企業から見ると、これらの疑惑はかなりピントがズレているというか、首を傾げてしまう部分が多々あるからだ。
と口をすべらせると時節柄、「河野太郎支持者を発見! こいつも中共のスパイだ!」という話になりがちだが、河野氏を擁護するつもりはサラサラない。むしろ、二代続けて外相の河野家は中国共産党の対日工作のターゲットにされて当然なので、河野家と「中国との関係」はしっかり調べるべきとも考えている。
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