三菱商事発のMCデータプラス、知られざる“ユニコーン級"バーティカルSaaS企業とは(3/6 ページ)
急成長を遂げるSaaS領域において、日々多くのニュースを目にするようになった。freee、Sansanといった上場企業の台頭だけでなく、SmartHRをはじめとする未上場フェーズの企業においても大型資金調達が報じられるなど新興企業の台頭が著しい。その中で異質な"商社発"のバーティカルSaaS企業が存在する。建設現場の労務安全書類作成・管理クラウドサービス「グリーンサイト」を提供するMCデータプラスだ。
アナリストから見たMCデータプラスの可能性
飯田氏への取材を行う中で、バーティカルSaaS企業としての可能性を非常に強く感じられた。ここではポイントを3つ紹介したい。
(1) 建設バーティカルSaaS企業で最も企業・個人情報にアクセス可能
先に述べた通り、建設業界は多層のピラミッド構造となっており、バリューチェーンも広範に渡る。そのため、特定の業務課題を解決すると必然的に専門性が高くなるため業界の中でカバーできる範囲は絞られる。
一方で、グリーンサイトは建設現場での従業者を対象とした法定書類の作成を担うため、業界全体の個人・企業データに横断的にアクセスが可能となる。この点は連続的な製品を展開する上で大きな基盤となる。
例えば、MCデータプラスはこの個人データをNECの顔認証技術と組み合わせ、建設現場の入退管理システム「建設現場顔認証 for グリーンサイト」として製品化している。
「単なる書類の作成・管理システムではなく、IDサービスプロバイダーとして事業を展開していく」(飯田氏)とのコメント通り、圧倒的な量の個人・企業データを基に業界の川上から川下までの価値提供を目指している。
バーティカルSaaSの成長の王道は「特定サービスで業界に深く入り込み、連続的にプロダクトを提供することで業界の基幹システム化」することだ。この観点でMCデータプラスは既に建設業界に深い杭(くい)を打っている。
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