たばこ事業の一本化で「競争に勝つ」 他社が“紙巻撤退”を目指す中、JTの決断は?:国内たばこ事業CEOに聞く【後編】(2/3 ページ)
日本市場を含むたばこ事業の本社機能統合と約3000人の人員削減、九州工場の廃止などたばこ事業の合理化を進めるJT。市場が大きく変化する中、JTはどう進んでいくのか。前編に続いて同社のたばこ事業本部、国内たばこ事業CEO福地淳一専務執行役員に聞いた。
紙巻きたばこはより効率化
――紙巻たばこの販売本数は減少傾向が続いています。国内市場全体が縮小する中、今後のたばこ事業の戦略を聞かせてください
当社では、グローバル全体として大きな方針を決めています。5年後、10年後を考えたとき、たばこ事業の利益は引き続き紙巻きたばこから得られると思っています。これが、大きな一つ目のポイントです。
もう一つは、たばこ事業の成長のドライバーが何かという点です。それは、高温加熱型の加熱式たばこだと考えています。
そのような観点から、紙巻たばこの展開では効率を上げてより利益を生み出すことにフォーカスする。それと同時に、成長のドライバーとして高温加熱型の加熱式たばこに資源を投入し、このカテゴリーでの私たちの存在感を高めていく。この二つを当社の優先事項としてグローバル全体で取り組んでいるところです。
――フィリップ モリス ジャパンは国内の紙巻きたばこの販売から撤退を目指す方針を掲げています。JTとしても紙巻たばこの撤退は視野にいれているのでしょうか?
たばこは大人の嗜好(しこう)品ですので、喫煙者がリスクを理解した上で選択していただくものと考えています。私はたばこという商品に誇りを持っていますし、これは社員も同じ考えであると思っています。
例えば、「セブンスター」を吸っているお客さまは日本には多くて、お客さまから「セブンスターでないと」といった声をいただくとすごくうれしく感じます。それは「ホープ」や「ピース」「メビウス」などの銘柄も同じです。
私たちの存在価値として、お客さまに喜んで頂ける商品を提供し、当社の紙巻たばこを求めているお客さまに満足していただける商品を引き続き提供していきたいと考えています。
ただ、コロナ禍を通してお客さまのニーズや要望は変化し続けています。今後は今以上にさまざまなニーズが出てくるかと思いますが、それにきちんと答えていくことが私たちの役割だと認識しています。
――ということは、新しい紙巻たばこ製品の展開も進めていく考えでしょうか?
例えば、8月には紙巻たばこの新しい製品としてメビウスブランドから「Eシリーズ」を発売しました。葉たばこのブレンドを変え、価格を抑えた商品です。紙巻、加熱式双方のニーズを捉えつつ、加熱式は成長市場としてさらに力を入れていきますが、紙巻もお客さまのニーズがあれば新商品を出していきます。
競合他社も紙巻たばこの新商品を今でも出しています。お客さまのニーズに対応することが、メーカーとしての存在意義だと考えています。
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