取引先の請求書を電子化させる交渉テクニック:自社だけでなく(1/4 ページ)
自社でいくらペーパーレス化を進めても、取引先が対応していなければ、それに合わせて紙での対応を余儀なくされます。取引先の請求書を電子化させる交渉方法について考えます。
自社でいくらペーパーレス化を進めても、取引先が対応していなければ、それに合わせて紙での対応を余儀なくされます。取引先の請求書を電子化させる交渉方法について考えます。
請求書を電子化するメリットとは
コロナ禍において、いざ社内でテレワークを実施しようとしても、すぐに対応が難しいことに気づいた会社も多いと思われます。特に経理部門のテレワーク実現には、ペーパーレス化が避けられません。
経理担当者向けに実施されたアンケート調査によると、テレワークの実現が難しい理由として、請求業務と振込入金業務がネックになっていることが分かります(「MF KESSAI「経理財務・会計担当者のテレワークの対応状況」2020年参照)。
自社から請求する場合は紙の請求書を印刷して押印し、封筒に詰めて郵送する作業がネックです。封筒や印鑑などが会社にあり、出勤が必要なためです。一方、他社から請求を受ける場合も紙の請求書が送られてくると、会社のポストを確認しなければならず、やはり会社への出勤が必要です。
ところで、請求書の作成作業自体は、会社に出勤する必要は必ずしもありません。請求書の作成ソフトを利用したり、Excelを用いて請求書等を作成することは、作業環境さえ整えばテレワークで行えます。
近年は、導入しやすいクラウド型も人気です。クラウド型のシステムは、電子機器をインターネットにつなげればどこからでも利用できるため、テレワークと非常に相性がよいといえます。
つまり、テレワークを実施するには、電子化にあわせて請求書を送付しやすい環境を用意することが重要です。ペーパーレス化やテレワーク対応の実現には、電子データで作成した書類をそのまま送付することが理想です。
また、請求業務については、税法上の保存要件も意識する必要があります。そもそも、なぜこのような請求に関わる取引履歴を会社で保存しているのでしょうか。後日問合せがあった際の確認のためもあるかもしれませんが、長期間保存する目的は、税法における保存要件も理由の1つです。
税法における保存要件で見ると、電子データにおける保存が簡単になりつつある傾向も認識しておく必要があります。これまで私たちが「紙で保存しなければ」と思ってきたのは、税法上の保存要件が影響した結果、慣習化し、紙による作成・保存が定着したこともあるはずです。
しかし、2021年度税制改正で電子帳簿保存法が抜本的に見直されたことにより、電子データの保存も容易になりつつあります。テレワーク対応や社内コスト、税法上の保存要件を総合的に考えると、紙のほうが不都合を感じる機会も多くなっています。
取引先と交渉するためのテクニック
テレワーク対応に必要となる請求業務の電子化を実現するには、どうすればよいのでしょうか。
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