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1000円以上の「駅弁」が、各地のスーパーで飛ぶように売れている理由:長浜淳之介のトレンドアンテナ(3/6 ページ)
コロナ禍で、駅弁の販売がスーパーや通販にシフトしている。背景にあるのは新型コロナウイルスの感染拡大だ。駅弁の販路はどう変わってきたのか。
地元回帰を志向
コロナ禍によって、駅弁業者が百貨店の催事や東京駅など大都市拠点駅での需要に頼れなくなり、地元に回帰しているのも、大きな変化だ。
山形新幹線・米沢駅の名物駅弁「牛肉どまん中」を製造販売する新杵屋によれば、地元の米沢駅で1日に売れるのは10個程度。一方、駅前に店舗を構える本店は、工場に併設されていて出来立ての駅弁が購入できるようにしている。しかも、米沢牛が味わえるレストランやカフェがあり、山形のお土産も買えることもあって、観光客のみならず地元住民にも人気のスポットになっていた。地元山形県と宮城県に店舗網を広げるスーパー「ヤマザワ」の駅弁大会で牛肉どまん中は売れ筋1位となっており、地域住民にもよく利用されている。
そこで、新杵屋では地元スーパーを見直して販路を開拓している。また、駅弁に使う予定だった米が余ったため、米粉の生地で作った「牛肉どまん中ピザ」を、「道の駅米沢」と共同開発。本店、道の駅米沢、インターネット通販で販売して、順調な売れ行きという。具材には駅弁と同じ牛肉の甘辛煮とそぼろを使っている。
さらには、米粉せっけんや、「牛肉どまん中 揚げ煎餅」も立て続けに新規開発した。
同社では、通販でピザは売っても、駅弁は売らないというこだわりがある。舩山百栄社長は「駅弁は出来立てに近い状態で食べてもらいたいから」だと説明する。
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