1000円以上の「駅弁」が、各地のスーパーで飛ぶように売れている理由:長浜淳之介のトレンドアンテナ(4/6 ページ)
コロナ禍で、駅弁の販売がスーパーや通販にシフトしている。背景にあるのは新型コロナウイルスの感染拡大だ。駅弁の販路はどう変わってきたのか。
買いやすい弁当を共同開発
神戸駅を拠点とする淡路屋では、昨年のゴールデンウイークに、地元スーパー「トーホーストア」で駅弁を販売したところ、予想以上の反響があった。そこで、駅弁販売を継続するだけでなく、シニア世代向けに健康に配慮した、もう少し買いやすい価格の弁当4種(680円)を共同開発した。
例えば、「たこめし弁当」は駅弁の「ひっぱりだこ飯」を彷彿(ほうふつ)とさせる。通常のスーパーの弁当と駅弁の中間くらいの価格ながら、旅行気分が手軽に味えると好評。週3回(火曜、土曜、日曜)のペースで店頭販売している。スーパーの弁当・総菜売場で駅弁を定着させるには、淡路屋とトーホーストアが取り組むようなセカンドラインの開発が重要と考えさせられた。
一方、崎陽軒でも、拠点の横浜駅や百貨店などに展開する店舗での売り上げがコロナ禍で激減。前年の4割程度にまで減った月もあった。しかし、住宅地に近い店舗では前年を上回る売り上げをたたき出すケースもあった。
そこで同社では、従来の都心部に来てもらう売り方でなく、自らユーザーの住んでいる住宅地に近づく戦略に転換した。その際、スーパーに商品を卸すのではなくて、非接触性が高く、車で行けるロードサイド直営店の開拓に注力している。昨年9月からこの取り組みを始めて、既に神奈川県を中心に9店にまで増えた。崎陽軒がこれまで出店してきた首都圏で、ロードサイド店をさらに増やしていく方針だ。
商品ラインアップも、冷凍弁当やレトルト商品、シウマイ弁当がデザインされたクッションや腹巻のようなグッズに注力するなど、都心部店とは異なっている。冷凍弁当は、「チャーハン弁当」などの商品を「おうちで駅弁シリーズ」として、新しい生活様式に合わせて売り出したものだ。
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