1000円以上の「駅弁」が、各地のスーパーで飛ぶように売れている理由:長浜淳之介のトレンドアンテナ(5/6 ページ)
コロナ禍で、駅弁の販売がスーパーや通販にシフトしている。背景にあるのは新型コロナウイルスの感染拡大だ。駅弁の販路はどう変わってきたのか。
通販を強化
通販強化型の例も見てみよう。新竹商店は、地元の松阪市や近隣観光地の伊勢・志摩に行きたくなる、お取り寄せグルメを目指している。
具体的には、ただ注文の商品を送るだけでなく、手書きの「モー太郎からのメッセージ」「モー太郎ぬり絵」「あら竹からの写真付きお礼状」が漏れなく付くサービスを行っている。そればかりか、松阪市の文化財である「本居宣長記念館」、三井グループの創業者である三井高利の生誕地となる「三井家発祥地」などの観光パンフレットが箱詰めされており、松阪を旅行した気分で駅弁を楽しめるようにした。
1万円以上を購入した場合には、名松線活性化を目指す「名松線を元気にする会」が制作した、名松線のミニ写真集(非売品)も付ける。こうしたサービスの良さで、鉄道ファンに喜ばれている。
通販の取扱商品は、駅弁にとどまらず、レトルトの松阪牛カレー、松阪牛せんべい、牛肉のそぼろ煮、クリアファイル、アクリルキーホルダーなどとなっている。
いかめしの工夫
北海道森駅の「いかめし」は、京王百貨店の駅弁大会で50回連続で売り上げ1位という偉業を達成した。製造販売するいかめし阿部商店でも、いかめしおかき、いかめしカレー、Tシャツ、トートバッグといった関連商品を自社サイトにてチカラを入れて販売し始めた。
百貨店の催事が売り上げの9割を占める同社だが、コロナ禍で地方での百貨店閉店が加速している。今後は販路の多様化を図り、ネット通販の充実を目指すだけでなく、新しい試みとしてネット配信アプリ「SHOWROOM」(テレビ通販のネット版進化形ともいうべきもの)を使ったライブコマースにも挑戦している。
岡山駅の駅弁業者、三好野本店では冷凍弁当の通販に注力。今年4月より自社サイトと楽天市場で、人気駅弁トップ3の「桃太郎の祭ずし」などを販売している。一部、地元百貨店のリアル店舗でも売っている。冷凍弁当は発売3カ月で5000食を出荷して好調な滑り出しだ。
6月からは「お手軽冷凍弁当シリーズ」と称して、駅弁のメイン食材をなるべく変えずに、より買いやすい価格を追求した新規開発商品を8種類、新たに投入。8月にも5種類を追加した。
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