“画期的”楽天ポイント利息、原資はポイントの改悪分?:古田拓也「今更聞けないお金とビジネス」(1/3 ページ)
楽天グループは18日、預けるだけで預金金利のように楽天ポイントが増える「楽天ポイント利息」の提供開始をアナウンスした。一度で最大50万ポイントまでポイントを預けることができ、月利にして0.009%、年0.108%ずつポイントが増えていくサービスである。楽天ポイント利息は「元本保証で、減少することはありません」と明記されている点で画期的である。
朝三暮四という言葉がある。
昔、宋国に狙公と呼ばれる老人がいた。狙公は飼っている猿のエサを減らそうと、猿たちに「朝に三個、夕方に四個」と尋ねたという。しかし、猿たちはその提案を受け入れなかった。そこで、「朝に四個、夕方に三個」と再提案すると猿たちは喜んで狙公の提案を受け入れたという。
楽天グループは18日、預けるだけで預金金利のように楽天ポイントが増える「楽天ポイント利息」の提供開始をアナウンスした。一度で最大50万ポイントまでポイントを預けることができ、月利にして0.009%、年0.108%ずつポイントが増えていくサービスである。
ポイント自体がポイントを増やすサービスといえば、株価指数に連動する「ポイント運用」や、ポイントを投資代金に充当する「ポイント投資」といったサービスがある。しかし、これらはあくまで価格変動リスクが伴うものであり、相場環境によってはポイントが減少するリスクがあった。
この点について、楽天ポイント利息は「元本保証で、減少することはありません」と明記されている点で画期的である。そうはいってもやはり気になるのが、「利息の出どころ」だ。
利息の出どころは、ポイント改悪で浮いたポイント?
利息と聞いて思い浮かぶのは、やはり「預金利息」だろう。銀行が預金者に利息を払うことができるのは、顧客の預金を国債運用や融資などの事業に活用することができるからだ。預金者に支払う利息よりも、預かった金員を運用することによる期待収益が大きい「利ザヤ」状態にあるからこそ、銀行は預金者に利息を支払うことができる。
しかし、「楽天ポイント」はどうだろうか。ポイントは楽天にとっては単純な負債であり、楽天ポイントを顧客に貸し出したり、楽天ポイントで直接国債を運用したりすることもない。利ザヤがないものに、どうやって元本保証しつつ利息を付けることができるのだろうか。
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