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“画期的”楽天ポイント利息、原資はポイントの改悪分?古田拓也「今更聞けないお金とビジネス」(3/3 ページ)

楽天グループは18日、預けるだけで預金金利のように楽天ポイントが増える「楽天ポイント利息」の提供開始をアナウンスした。一度で最大50万ポイントまでポイントを預けることができ、月利にして0.009%、年0.108%ずつポイントが増えていくサービスである。楽天ポイント利息は「元本保証で、減少することはありません」と明記されている点で画期的である。

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「朝三暮四」使いようによっては優れた戦略に?

 ただし、このような姿勢を頭ごなしに批判することは建設的ではない。朝三暮四には、「巧みに人を欺く」といったネガティブな意味として一般的には認識されているが、これは裏を返せば「伝え方を工夫することで、相手の反発を避けながら自身の要求を通すことができる」という意味も併せ持っている言葉でもある。

 プロモーションやキャンペーンなどを企画するにあたっては、成果だけでなくコストパフォーマンスも求められる。楽天ポイントをめぐっては、ゴールドカードの楽天市場における還元率低下や、SPU(スーパーポイントアッププログラム)条件の複雑化など、コアユーザーを中心とした改悪の批判が強まっていた。一方で、楽天側としては「負債」にあたるポイントの積み上がりが経営基盤を圧迫しかねないと危惧している現状もうかがえる。

 そんな中、税抜きベースでのポイント還元という改悪と同時に、ポイント利息という新しい観点のサービスを取り込むことで、プラスの宣伝効果をもって将来の負債低減に貢献したとしたら、優れた戦略であるというべきだろう。

筆者プロフィール:古田拓也 オコスモ代表/1級FP技能士

中央大学法学部卒業後、Finatextに入社し、グループ証券会社スマートプラスの設立やアプリケーションの企画開発を行った。現在はFinatextのサービスディレクターとして勤務し、法人向けのサービス企画を行う傍ら、オコスモの代表としてメディア記事の執筆・監修を手掛けている。

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