シリーズ累計30億本超 「クラフトボス」誕生のきっかけとなった予想外な“若者の本音”:キーワードは“爽快”(1/4 ページ)
サントリー食品インターナショナルが発売する「クラフトボス」のシリーズ累計販売本数が30億本を突破した。
サントリー食品インターナショナルが発売する「クラフトボス」のシリーズ累計販売本数が30億本を突破した(出荷数量ベース、2021年8月末時点)。17年に「BOSS(ボス)」シリーズのペットボトル入りコーヒーとして発売し、新たな市場を創出。発売から5年が経過し、今では年間3000万ケース以上を販売するシリーズに成長した。
ボスといえば、「宇宙人ジョーンズ」シリーズや、歌手の矢沢永吉を起用したテレビCMなど、缶コーヒーとしてのイメージが強かったが、なぜ小容量の「ペットボトル入りコーヒー」を展開することにしたのか。そこには、嗜好(しこう)の変化に対応した柔軟な発想と、ブランドが守り続けてきた信念があった。
増えるコーヒー需要と、伸び悩む缶コーヒー需要
クラフトボスが発売された17年前後は、コンビニコーヒーの台頭や、ブルーボトルコーヒーの上陸などに代表される“サードウェーブコーヒー”の流行により、コーヒー全体の消費量が増加している時期だった。全日本コーヒー協会によると、国内のコーヒー消費量は、1996年の35万トンから年々増加し、2016年には47万トンとなった。
コーヒー需要の増加に伴ってボスの売り上げも好調だったというが、同社のブランド開発事業部 課長の大塚匠氏は、コーヒー全体の消費量に対する缶コーヒーの消費スピードにギャップを感じていたと振り返る。
全日本コーヒー協会が発表した「日本国内の嗜好飲料の消費の推移」によると、1990年を100とした場合、「缶入りを含むコーヒー飲料」の消費量は、2000年に115、16年には134と右肩上がりに増え続けたのに対し、うち「缶入りコーヒー飲料」は97年の105をピークに、2000年には96、以降はほぼ横ばいの状況が続いていた。
この状況を打開すべく、ボスシリーズでは、持ち運びに便利な蓋(ふた)つきの「ボトル缶」を採用した商品や、コーヒー由来の強いコクを表現した「プレミアムボス」の発売を開始。従来の缶コーヒーユーザーだけではなく、レギュラーコーヒー飲用者をも取り込むべく、テレビCMや消費者キャンペーンなど、さまざまなプロモーション活動を展開していた。しかし、それでも十分な手応えを感じられずにいたという。
本当に好まれる缶コーヒーとは何なのか――。それを確かめるべく実施したグループインタビューで、のちのクラフトボス誕生につながる意見があった。
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