安いだけじゃない 「トップバリュ」「みなさまのお墨付き」の隠れたヒット商品とは:長浜淳之介のトレンドアンテナ(3/5 ページ)
イオンの「トップバリュ」や西友の「みなさまのお墨付き」といった低価格PB。単に安いだけではなく、独自商品が支持されヒットにつながっているケースもある。どのような商品が売れているのか。
計画比1.5倍のヒット商品も
トップバリュにおける直近のヒット商品は何か。
バーリアルは発売して10年になるが、18年6月に製造を韓国メーカーから、キリンの国内工場に変更。輸送時間を1カ月ほど短縮し、鮮度と品質が格段にアップした。21年9月にも、原材料の配合を見直すなど、妥協せず改善を続けている。21年1〜8月の売上高は過去最高となる前年同期比150%。「バーリアル」「バーリアル リッチテイスト」「バーリアル 糖質50%オフ」の3種がある。
「ベジティブ」シリーズは、健康や環境に配慮し、毎日の食事に植物由来の食品を積極的に取り入れたいという顧客の声から生まれた商品群。昨年から肉や乳製品を植物原料に置き換えたものを本格展開している。商品例として、「大豆からつくったハンバーグ」「豆乳からつくったプリン」などがあり、今上半期(3〜8月)で売り上げは前年同期比150%となっている。
「パパッとできるお魚おかず」は、キャラメルのようにキューブ型に切った、斬新な魚の冷凍食品。調理過程で生ごみが出ないのが特徴だ。また、骨を除去しているので家族全員で食べやすく、打ち粉をしているので下ごしらえも不要だ。冷凍のままで和、洋、中と料理のジャンルを問わずに活用できるようにした。「骨取りサーモン」の他、「あじ」「さば」「たら」「ぶり」が発売されている。21年5月から販売した新商品で、イオンリテールで計画比1.5倍の売れ行きと大きな反響を呼んでいる。
「プロテインバー」は、在宅時間が長くなる昨今、自宅でトレーニングする人も多いことから、手軽にタンパク質を摂取できる点が支持されている、コロナ禍を追い風に変えた商品で、「プロテインバー15gバーチョコ」のほか、シリアルチョコ、シリアルチョコビター、シリアルチョコFORジュニアがラインアップとなっている。比較可能な時期(21年7〜8月)と商品のみで、売り上げは前年同期比約250%と絶好調だ。
トップバリュは、暮らしで顕在化されたニーズだけでなく、潜在的なニーズ(簡便、健康、環境、ナチュラル、こだわり志向など)も追求。徹底した品質管理基準や自主検査、開発体制を実現し、企画・製造・物流・販売まで「トップバリュが全ての責任を負う」ことを示すために、「販売者イオン」を表示しているという。
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