強すぎる「ダイソー」と「セリア」 イオンが「キャンドゥ」と組むと何が起きるのか:長浜淳之介のトレンドアンテナ(1/5 ページ)
イオンはTOBにより、キャンドゥの子会社化を目指す。100円ショップはダイソーとセリアの“2強状態”でキャンドゥと差が開いていた。イオンの傘下入りを果たすとどんなメリットがあるのか。
イオンは10月14日、公開買付(TOB)でキャンドゥの株を取得し、子会社化を目指すと発表した。現在、買付の最中であるため、両社は将来ビジョンに関するコメントを出すのを控えているが、このTOBは双方にとって大きく成長するチャンスとなるのではないかと考える。
イオンの傘下となって業績を伸ばした異業種の会社に、ドラッグストア業界の雄・ウエルシアホールディングスや、「キッチンオリジン」のオリジン東秀がある。
ウエルシアは2000年にイオンの傘下に入った。今はイオンの持ち株比率が50.54%だが、Tポイントを活用した割引サービスを行うなど経営の独自性が強く、同社がイオングループであると感じるのは「トップバリュ」の製品を食品売場などで見る時くらいだ。調剤部門に強いドラッグストアとして、揺るぎない地位を築いている。
オリジン東秀は、弁当・総菜店のキッチンオリジンや、中華料理店「れんげ食堂Toshu」などを経営する。キッチンオリジンは、おにぎり、総菜、手づくり弁当を3本柱にした類例が少ないチェーンで、イオングループの店舗に商品の供給もしている。06年にドン・キホーテ(現・PPIH)のTOBに対して社員が反対し、イオンがホワイトナイトとなって買収した。
100円ショップ業界では、首位「ダイソー」の大創産業、2位セリアのツートップが突出している。3位のキャンドゥは製品の内容で決して劣っておらず、出店の戦略やスピードで後塵(こうじん)を拝したと捉えている。
一方のイオンも、100円ショップの誘致が集客を上げるのに効果的と考えており、キャンドゥとの関係を深めて、Win-Winのビジネス展開ができると期待している。
イオンのキャンドゥ買収は、100円ショップの近未来にどのような影響をもたらすのだろうか。
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