強すぎる「ダイソー」と「セリア」 イオンが「キャンドゥ」と組むと何が起きるのか:長浜淳之介のトレンドアンテナ(4/5 ページ)
イオンはTOBにより、キャンドゥの子会社化を目指す。100円ショップはダイソーとセリアの“2強状態”でキャンドゥと差が開いていた。イオンの傘下入りを果たすとどんなメリットがあるのか。
イオンの潜在ニーズにもマッチ
イオンにとってGMSの再生も大きなテーマだ。イオンに限らず、GMSは食品を除いて苦戦しており、22年2月期中間決算でも、GMSは162億円の赤字だった。
主力のイオンリテールを詳しく見てみると、食品は前期比2.2%増、前々期比4.2%増と順調。それに対して、衣料が前期比3.8%増ながら、前々期比で21.1%減と足を引っ張っている。住関連の住居余暇・H&BC(ヘルス&ビューティーケア)も前期比4.4%減、前々期比12.1%減と苦戦している。
さらに詳細を見ると、園芸用品138.2%増、エンターテインメント59.6%増、スポージアム55.8%増、調剤9.2%増、家事消耗7.8%増と、伸びているカテゴリーがある。100円ショップは、調剤は範囲外だが、家事消耗はもちろん、ちょっとした園芸用品やエンターテインメントに関連するキャラクター用品なども売るし、スポージアムに関連するアウトドア用品も売れ筋だ。従ってイオンリテールの衣料や住関連の売り場を縮小して、100円ショップのテナントを入れるのも、売り上げ増の現実的な選択肢なのだ。
この場合も、どこに行ってもダイソー、セリアではなくて、キャンドゥも入れていけば、同じことを考えているGMS競合店との差別化が可能になる。
イオン・広報では「キャンドゥは比較的小型な店舗の出店形態を特徴としており、GMSやSMなどへの出店余地を多く持つ、イオンの潜在ニーズともマッチしている」と、親和性の高さに着目したとしている。
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