進々堂、冷凍パンの賞味期限を最大2カ月書き換え コロナ禍で生産抑制中、「欠品させたくなかった」:社員の独断を強調、組織的関与は否定
老舗ベーカリー「進々堂」を展開する進々堂は社員2人が業務用の冷凍パンの賞味期限を書き換えていたとして謝罪した。社員が独断で、賞味期限を最大2カ月間延ばしていた。同社は今後、QRコードを使った在庫管理システムの導入などで再発防止に取り組む方針。
老舗ベーカリー「進々堂」を展開する進々堂(京都市伏見区)は12月2日、社員2人が業務用の冷凍パンの賞味期限を書き換えていたとして謝罪した。社員が独断で、賞味期限を最大2カ月間延ばしていた。同社は今後、QRコードを使った在庫管理システムの導入などで再発防止に取り組む方針。
同社によると、社員2人は2月、本社工場で賞味期限間近の冷凍パンを開封し、新しい期限を記載したものに再包装する手口を、複数回にわたって繰り返していたという。期限の書き換えは「ヨモギバンズ」など4種類、計100パックに上り、京都市内を中心に、滋賀県、奈良県のホテル・レストラン8カ所に納品されていた。納品先は既に特定済みで「個別におわびとともに、事実関係を報告している」としている。
3月に内部通報で明らかになり、社員が賞味期限の書き換えを認めた。社員は社内調査に対し「コロナ禍で生産数を抑制している中、注文数が増え、欠品させたくなかった」と話しているという。同社も社員の証言などを基に内部調査を進めていたものの、前任の責任者が調査の一部を放置。新たに着任した責任者が調査をまとめ、11月に入り、京都市の保健所に連絡した。
同社は取材に対し、書き換えを「社員の独断」と強調。書き換えも「2月だけ」とし、組織的関与を明確に否定した。事態を受けて10月、書き換えに関わった社員2人をけん責処分に、2人の上司である「管理部長」を兼務していた常務執行役員を、執行役員に降格処分としたことも明らかにした。京都市から食品表示法などに基づく行政処分を受けたとする一部報道については「そのような事実はない」と否定した。
再発防止に向けては、在庫管理のデジタル化を掲げた。これまで生産した商品は、製造日、出荷期限、廃棄日を記載したシールを包装に貼り、それを社員が目視で管理するというアナログ方式だった。今後は、これらの情報をQRコードで一元管理できるシステムを導入する方針。
同社は社員のコンプライアンス教育も徹底する方針で「今回の事態を厳粛に受け止め、信用の回復に努める」とコメントしている。
進々堂は1913年創業の老舗ベーカリー。公式Webサイトによると、京都市内を中心にカフェやレストラン11店舗を展開し、年商は23億円(2019年7月)。従業員数は536人(20年3月)。
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