JCBカード、漢字「一」あしらうデザインへ きっかけはタッチ決済(2/2 ページ)
JCBが12年ぶりにデザインを刷新し、昨今のトレンドに沿ったデザインに生まれ変わった。この変更の背景には何があったのか。
タッチ決済のニーズ高まる
しかしJCBが大きなデザイン変更に踏み切ったきっかけは、業界のデザイントレンドではない。昨今普及が進む、タッチ決済への対応が出発点だった。
「タッチ決済のニーズの高まりがある。ベーシックなカード、オリジナルシリーズに標準決済しようというところから始まった」(角谷氏)
タッチ決済は、読み取り機にカードをタッチするだけで暗証番号やサインの必要なくカード決済が完了する仕組み。技術的にはNFC TypeA/Bとも呼ばれ、海外での普及が進んでいる。国内では、Suicaに代表される交通系電子マネーや、iDやQUICPayといった非接触決済手段が普及しており、クレジットカードへの搭載も盛んだった。
しかし、国際ブランド大手のVisaがタッチ決済を強力に推進し始めた19年秋頃から、流れが変わりつつある。Visaは東京オリンピックをターゲットに、各種キャンペーンを行うだけでなく、Visaブランドカードを発行する各社にもタッチ決済対応を要請。コンビニ3社がタッチ決済に対応した4月頃からは、非接触決済手段の1つとして根付き始めた。
JCBでは、タッチ決済が海外で普及していることを踏まえ、海外利用の多いANAの提携カードでは当初からタッチ決済に対応している。今回、国内の状況も踏まえメインとなるJCBオリジナルでの対応を決めた形だ。それに伴い、従来使っていた「JCBコンタクトレス」という呼称から「JCBのタッチ決済」という表現に改めている。
しかし、ある意味タッチ決済の競合であるQUICPayはどうなるのか。QUICPayはJCBが運営するサービスであり、05年のサービス開始以降、順調に利用を拡大してきた。角谷氏は、「引き続きQUICPayもプロモーションするのは大きな方針。同時にタッチ決済も積極的に推進していく。海外利用も踏まえると、当分お客さまが(両方を)選んでいただける状態を維持していく」と話す。
今後は、提携カードなどにもタッチ決済を提案していくが、カードのコストアップにもつながるものであるため、各提携カード側の判断だとした。
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