異例の申し出 「ケント」や「glo」のBATJが“紙巻の増税”を要望した理由:社長に聞く(2/5 ページ)
ブリティッシュ・アメリカン・タバコ・ジャパン(BATJ)が、自民党の議員連盟に対し、来年度の税制改正で紙巻たばこの増税を要望したとの報道があった。その真意は? 社長に尋ねた。
日本で加熱式たばこが支持される3つの理由
――国内のたばこ市場は縮小し続けており、喫煙できる場所も減っています。たばこ製品を提供する企業としてどのように感じ、対応していく考えでしょうか。
日本だけではなく世界全体で、長い年月をかけてたばこのマーケットが縮小し続けていることは理解しています。一方で、特に日本では加熱式たばこのユーザー数が年々伸びている状況です。
BATグループは、「A Better Tomorrow (より良い明日)」という戦略を掲げています。紙巻に関する健康への被害などは理解した上で、加熱式やオーラルたばこなど、「健康リスクが低減される可能性を秘めた製品」を提供し、移行を促す戦略を進めています。
今後も、そのようなカテゴリーの製品ラインアップを増やし、消費者に提供できるビジネスにしていきたいと考えています。
また、喫煙場所の減少も世界全体で同じ傾向にあり、規制は今後も強まっていくと考えています。
海外の状況を見ると、消費者の特性として、規制が強化されると一時的にたばこ製品の使用をやめたり頻度を少なくしたりする動きがあります。しかし世の中がその環境に慣れてくると、少しずつ回復する傾向がありました。今後、日本においても同様の経緯をたどると考えています。
われわれのビジネスとしては、加熱式への移行を促進させるとともに、紙巻との違いを理解していただくことが重要と考えています。ただ、その理解を広めるには、まだ時間が必要です。
また、変化する環境に対して、さまざまなオプションを提供する必要があります。特に、歯茎に挟んで使用するオーラルたばこ「VELO(ベロ)」はその点を重視して投入しています。においや煙が全く出ず、誰にも分からない形で喫煙体験ができる製品です。シーンによって選択できるたばこの楽しみ方をビジネスとして提供していきたいと考えています。
――日本は世界的に見ても加熱式の利用率が高いといわれています。なぜ日本でこれほどまで加熱式が使われていると分析していますか。
国内のたばこ市場のうち、約3割がすでに加熱式で成り立っています。その大きな理由が3つあると考えています。
1つ目が、イノベーションや新しいテクノロジーを受け入れる姿勢が非常に柔軟だという点です。他国と比較した場合はもちろんですが、たばこ製品だけではなく、さまざまなイノベーションを受け入れていける点が日本の消費者の特徴だと思います。
2つ目が、周りへの配慮です。日本人の消費者は周りの人に迷惑をかけたり不快にさせたりしてはいけない「consideration(配慮)」の姿勢が非常に強いと感じます。においが少なく、燃焼に伴う煙が出ない加熱式の特性とそのニーズがマッチしているんだろうと感じています。
3つ目は、健康志向の高まりです。加熱式の大きな特徴の1つに、燃焼による有害物質の発生を約95%カットできる点が挙げられます。その点もお客さまにとって非常に大きなメリットであると考えています。
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