異例の申し出 「ケント」や「glo」のBATJが“紙巻の増税”を要望した理由:社長に聞く(5/5 ページ)
ブリティッシュ・アメリカン・タバコ・ジャパン(BATJ)が、自民党の議員連盟に対し、来年度の税制改正で紙巻たばこの増税を要望したとの報道があった。その真意は? 社長に尋ねた。
以上が山中社長へのインタビュー内容だ。同社は11月に「ラッキー・ストライク」ブランド初となるglo専用たばこスティック「ラッキー・ストライク・ダーク・タバコ・12 本・glo hyper用」「ラッキー・ストライク・リッチ・タバコ・12 本・glo hyper用」を発売した。
同社がこの製品のターゲットと位置付けるのは、加熱式への関心は高いものの主に紙巻を利用し、物事に対するこだわりや伝統に高い信頼を寄せる「本質志向型消費者」。喫煙者に占める最大のセグメントだと推測し、約970万人存在するとしている。
同消費者の喫煙行動を調査したところ、1日の消費本数は12本前後だったという。そこで、同製品はglo初となる12本入りとし、価格は290円に設定した。たばこ本来の風味を感じられるよう「ジェル・テクノロジー」を導入し、レギュラー製品の味わいや満足感を追求。担当者は「これまで加熱式たばこへの移行をためらっていた層にも満足してもらえる味」だと説明する。
同社に限らず、各メーカーが加熱式への移行に向けた姿勢を鮮明にしている。国内で圧倒的なシェアを誇るPMJは8月に「IQOS ILUMA(イルマ)」と、専用スティック「TEREA(テリア)」を投入。また同グループは、10年以内に日本国内の紙巻たばこの販売から撤退を目指す方針を掲げている。
加熱式市場での巻き返しを図るJTも、高温加熱型のデバイス「プルーム・エックス(Ploom X)」を7月に発売。開発に約2年を要し、初めて海外たばこ事業を担うJTインターナショナル(JTI)と共同開発を進めた製品で、海外での展開も見据えた「グローバルモデル」と位置付ける。
先述の通り、22年10月には加熱式の増税が予定されている。各社が紙巻への移行を促す中、次回の増税がどのような影響を与えるのか注視したい。
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