隠れた逸材発掘の最短ルート!? アート×ビジネスにも通じる採用テック「デザイン思考テスト」が想像以上に面白く合理的だった!:イノベーション人材をピンポイントで狙える!?(4/4 ページ)
コロナ禍で世の中の常識やルールが大きくが変わり、DX推進やSDGsへの取り組みも求められるようになったことで、自ら課題を見つけて解決する“デザイン思考力”を備えた人材が求められるようになった。従来の選考では見つけづらい人材の採用を「デザイン思考テスト」で後押しするVISITS TechnologiesでCEOを務める、松本勝氏に話を聞いた。
従来の選考では出会えなかった学生を採用
デザイン思考テストを使った採用を実施した結果、従来の選考プロセスでは自社に必要な人材を十分に採用し切れていなかったことが判明したケースもあるという。
ある大手企業では、通常の選考プロセスとは別にデザイン思考テストを伴う選考を実施。評価の高い学生を、役員面接などを経て採用した結果、通常の採用試験では見過ごされていた学生も採用できた。
「いわゆる学歴上位校ではなかったり、面接は得意でなかったりしても、豊富なアイデアを持っていて、イノベーション人材になりうる可能性を秘めた学生さんもいます。そういった従来の選考基準では落とされてしまいがちだったけれど、実は優秀――デザイン思考テストは、そんな隠れた逸材を発掘するきっかけになると考えています」(松本氏)
“対策“ができないから本質が見える
一般的な自己PRなどの場合、“こういうことを言うと通りやすい“といったテクニックがある程度通用するため、就活塾のようなところで対策した上で就活に挑む学生も少なくない。
一方で、ものの見方や発想といった本質的な部分が求められるデザイン思考テストは、一時的な対策でスコアを上げることはできない。“小手先の対策”をしていない学生の本質を知ることができる点に価値を見いだして導入する企業もあるという。
ただし、一切の対策が不可能ということではない。日頃から意識してものごとを見ることで、デザイン思考力そのものを向上させることは可能だという。松本氏は、「相手の視点に立って、その人のニーズを想像したり、こういうシチュエーションではどんな気持ちになるのだろう、ということを考えたりする習慣をつけることが大切です。そういった“いい意味での対策”はぜひ実践してほしいと思っています」と話し、これから採用試験を受ける人へエールを送る。
デザイン思考はどんな仕事にも必要
デザイン思考が求められるのは、DXや新規事業の創出といった新しい取り組みを行う場面だけではない。「どんな業務にも課題を見つけて解決する力は必要」だと松本氏は力をこめる。
「例えば営業職なら、目の前にいる顧客の課題をイメージして提案をしないと売ることができませんし、チームのマネージャーにも、部下がどんなことに困っているのかを先回りして考え、アドバイスしていく力が必要です。課題発見力は、社会人として仕事をしていく上での基本でもあるのです。新卒採用の指標とするだけでなく、既存の社会人の方にも、ぜひ意識して身につけてほしいスキルだと思っています」
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