興隆するHRテック市場で、採用テックがなぜ今注目なのか?(前編)(1/3 ページ)
市場が急成長している採用テック。テクノロジーをてこに、採用の世界が効率化・高度化が進む「採用テック」が、今求められる理由は主に2つあるという。
DX(デジタルトランスフォーメーション)は組織・人事の世界でも急速に拡大している。HRテックという言葉が日本でも使われるようになって久しいが、製品領域でいうと主に3つの機能で市場が伸びている。
1つ目がコアHCM(基幹人事システム)領域で、従業員情報管理や異動・昇格・報酬変更・退職など一連の人事業務プロセス全体を担う機能である。従来のオンプレミス製品からクラウドソリューションへの移行が顕著だ。代表的な製品としてSAP SuccessFactorsのEmployee CentralやWorkday、Oracle HCMが挙げられる。
2つ目がタレントマネジメント領域で、目標設定や評価、後継者管理、学習履歴管理、キャリア開発などの従業員全体の能力開発や将来の経営リーダー候補を育成支援する機能である。この領域でもSAP SuccessFactors、Workday、Oracleが世界的には主力であるがそれ以外にもCorner Stone on Demand、SumTotal Systems、Sava Software、近年では日本独自製品でカオナビ、タレントパレット、HRBrainなどが成長している。
そして3つ目の成長領域が本テーマである採用テックである。
世界的なマーケットリサーチ会社IDCの分析(Worldwide Talent Acquisition Technologies and Services Forecast, 2021-25)によれば、採用テックは20〜25年にCAGR4.5%で成長し、25年には1772億ドルの市場規模に達する見込みだ。
20年はコロナ禍での緊急避難的な採用抑制が世界的に見られたが、現在はコロナ禍からの景気回復基調の中で、採用を再開する企業が増えている。加えてリモートワーク環境の浸透や、ニューノーマル時代の価値観の変容で、Z世代を中心に今の会社をあっさり辞めて、やりたいことを実現するために転職や起業に向かっていく“Great Resignation”(大辞職時代)と呼ばれる動きも起きている。こうした直近の動向を鑑みると、求職者だけでなく企業側の立場から見ても、今後一層デジタル・テクノロジーをてこに、採用の世界が効率化・高度化するであろう。
採用テックが今求められる2つの理由
採用テックが今求められる理由は主に2つある。
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