マザーズ上場企業はどのSaaSを使っている?:メタップス編:あの企業が使うバックオフィスSaaS(2/3 ページ)
バックオフィスにおけるSaaSの導入が盛んだ。経理、人事、総務、法務などなどさまざまなSaaSが登場し、しのぎを削っている。今回は、SaaS管理のSaaSサービスも提供するマザーズ上場のメタップスに、どんなSaaSを使い、どう活用しているのかを聞いた。
導入SaaSの全体像
メタップスが導入しているSaaSの全体像は下記のようになっている。
会計はSaaSではない勘定奉行
意外なのは、実は会計にはSaaSを使っていないことだろうか。基幹の会計システムには、オービックビジネスコンサルタント(OBC)の勘定奉行を利用している。昨今クラウド会計ソフトが大きくシェアを伸ばしているものの、上場企業などの大企業においてはSAP、オラクル、富士通などと並び、OBCが強い。
「ある程度のセキュリティと処理スピードが必要。従来、オンプレミスのサーバを選択していたが、テレワークに変わったので、インフラだけを変えて21年からプライベートクラウドに移行した」と、内部監査部の部長で公認会計士でもある安本聖一氏は話す。
当然のことだが、「SaaSを使うこと」が目的ではなく業務に必要な機能を備えているかどうかが重要な点だ。一時期クラウド会計のfreeeも検討したが、当時は要件に対して不足があり断念した。そこで勘定奉行のオプションを使って対応しているという。
請求書の発行には、ヴェルクのboardを使っている。メタップスは総人員の半分程度が傘下のグループ企業所属となっており、グループ経営を行っている。そんな中、親会社から子会社への請求が増えていき、紙での処理をデジタルに切り替えるために2年前に導入したのがboardだ。
経費精算や社外からの請求書受取、さらにワークフローは、ラクスの楽楽精算を採用。15年から利用している。「経費精算は十分な機能」だとしており、特にカスタマイズもしていない。楽楽精算のオプション機能である汎用ワークフロー機能は、1つのシステムで完結させ、社内のユーザーに分かりやすくさせようという考えから採用した。
「いろいろあると分かりにくくなる。ユーザー側の使い勝手をメインに1つのシステムになるほうが便利」(安本氏)
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