会社のトップが大好きな「戦国武将に学べ」が、パワハラ文化をつくったと感じるワケ:スピン経済の歩き方(1/6 ページ)
NHKの大河ドラマ『鎌倉殿の13人』がスタートした。SNS上で「おもしろい」と話題になっているが、時代劇の中でも「戦国武将」に目がない人たちがいる。経営者だ。筆者の窪田氏は「武将に学べ系コンテンツ」と「パワハラ」に微妙な関係があると見ていて……。
1月9日、NHKの大河ドラマ『鎌倉殿の13人』がスタートした。「渋沢栄一も面白かったけど、やっぱり大河は時代劇じゃないと」とこれからの展開を楽しみにされているファンも多いだろう。
そんな「時代劇好き」の日本人の中でも、「戦国武将」というジャンルに目がない人たちがいるのをご存じだろうか。ビジネスパーソン、特に企業経営者の皆さんである。
それがうかがえるのがちまたに大量にあふれかえる、経営者・ビジネスパーソン向けの「武将に学べ系コンテンツ」だ。直近1年だけでも、経済メディアや企業のオウンドメディアにこんな見出しが踊っている。
『戦国武将から学ぶ事業承継とM&A』(デロイトトーマツ M&Aマッチングプラットフォーム 21年3月22日)
『豊臣秀吉に学ぶ「人たらし」』(三菱UFJビジネススクエアSQUET 21年1月28日)
『信長 信玄 謙信 戦国三大武将の経済学』(BSテレ東 21年12月26日)
また、中小企業支援の実施機関である中小機構も2020年末に「あの戦国武将が現代の中小企業経営者だったら」をコンセプトにしたPRサイトを立ち上げている。豊臣秀吉は建設会社社長、武田信玄は焼き鳥チェーン経営者など16人の武将を企業経営者に見立て、支援策を紹介している。
ほかにもちょっとググっていただけば、「戦国武将から学ぶコロナ禍での生き残り経営戦略」なんてセミナーや、「毛利元就に学ぶ、成長する組織に必要なマネジメント」なんて記事を見つけられるはずだ。
あまりにも多いので、会社経営は戦国武将をお手本にするのが基本のように感じてしまう人も多いかもしれないが、それはかなりユニークな日本特有の考え方だ。
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