「自律的に働く」には、「5+3=●」と「○+○=8」で考える:答えは無限にあり(5/5 ページ)
仕事現場では多くの人が「自律が大事だ」「キャリア自律しなくてはいけない」とよく口にします。しかし「自律|自律的に働く」がどういう状態であるのか、ましてや「自律」を育むことがどういうことなのかを明解にとらえ、発信しようとしてきませんでした。本稿ではその「自律」をある角度からながめてみます。
自律的挑戦を重ねていけば想定外にキャリアは発展していく
仕事を得て、生計を立てていくために、まずもって「自立」は大事です。そのために、一人前以上に業務をこなせる知識・技能を身につけること。しかし、そこで安住していては長きキャリアの航海を渡っていくことは難しいでしょう。なぜならそういった「閉じた業務」を真面目にこなす人は世の中にたくさんいますし、機械やAI(人工知能)に置き換わる時代がきているからです。
フェーズ1にとどまる人は、厳しい言い方になりますが、代替されるリスクのある「人材」です。またフェーズ2でも不十分です。フェーズ2の仕事は、やはり半分受け身なのです。右辺、すなわち目標や課題が組織や上司から振られるのを持っている状態です。
完全なる自律とはフェーズ3です。右辺、左辺の両方をつくり出せる人は、代替のきかない「人財」です。そしておそらく両辺を自分でつくり出すと、おのずとその仕事は「自分ごと」となり、志事的・ミッション的な性質を帯びてくるでしょう。
そういった自律の仕事を積み重ねていくと、自然にキャリアは切り拓かれてきます。何年か経って振り返れば、納得のいく、いやそれ以上に想定外に発展を遂げる職業人生になっているはずです。キャリア・プラニング(計画)をいくら綿密に立てたところで、日々の仕事において「○+○=○」の自律的挑戦がなされていなければ、絵に描いた餅になるでしょう。
自分の自律的挑戦が、他者の自律的挑戦と交わり、化学反応を起こせば、キャリア・プラニングのちっぽけな枠を超えて、想定外の世界が開けることもあります。自律的に働くとはそういった醍醐味があります。(村山 昇)
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