なぜ群馬に“謎コンビニ”ができたのか ゼンショー「実験店舗」の正体:スピン経済の歩き方(5/6 ページ)
ゼンショーHDが群馬県内で展開しているコンビニ「さくらみくら便利店」が話題になっている。コンビニ業界は寡占化が進んでいるのに、このタイミングで参入して存在感を示すことができるのだろうか。
「中食」戦略の最前線
となると、この実験はゼンショーHD側が自前でやらないといけない。つまり、自分たちでコンビニをつくって、大手コンビニほどではないにしろ、飲み物や菓子、生活雑貨などをそろえて、作り置きの弁当や総菜も並べる。そのように「本物さながらのコンビニ」という環境をつくったうえで、店内に「持ち帰り専門店」をつくって営業をするのだ。
「持ち帰り弁当」ばかりを購入して、店内の総菜やパンには見向きもしない客がどれほどいるのか。持ち帰りの親子丼を購入した客は、コンビニの棚で何を一緒に買うのか。イートインスペースをどれほど利用するのか、など既存の大手コンビニでは絶対に得られない貴重なデータの宝庫である。
そして、メリットとデメリットを徹底的に分析して、ビジネスモデルを構築した上で、セブンやローソン、ファミマに「提案」するのではないか。そんなゼンショーHDの「中食」戦略の最前線が「さくらみくら」のような気がしてならない。
という話をすると、「セブンなどはゼンショーなどに頼らず、PB商品のように自前で持ち帰り事業を始めるのでは」と考える人もいるだろうが、それは現実的に難しい。
もしセブンのコンビニで「みくら食堂」のようなことを自前でやろうとすると、設備や人件費がかさんで、ただでさえ高額なライセンス費を支払うコンビニオーナーの負担がさらに重くなる。コンビニバイトの確保だけでも大変なのに、調理スタッフのマネジメントや食の安全も守らないといけない。人手不足のブラック企業で働く人が、副業を始めるようなもので、「24時間営業問題」などコンビニの劣悪な労働問題が再び火を吹くだけだ。
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