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「日本人コーチの下急成長」「米国から帰化、モデル兼業」中国Z世代金メダリストの広告価値が急騰:浦上早苗「中国式ニューエコノミー」(2/5 ページ)
北京冬季五輪で過去最多の金メダルを獲得した中国では、新たに誕生した18歳、17歳の「Z世代」メダリストの広告価値が急騰し、企業からの注目も金メダル級となっている。中国は冬季競技はどちらかといえば「後進国」の位置にあり、Z世代の2人も含め、外国人コーチや帰化選手の力を借りたメダル獲得といえる。
史上最年少の金メダリストは埼玉県で練習
2月15日に決勝が行われたスノーボード男子ビッグエア。蘇翊鳴(スー・イーミン)選手が金メダルを獲得すると、中国中が歓喜に包まれた。
17歳での冬季五輪金メダルは中国史上最年少。蘇選手にとっては、7日のスロープスタイルの「銀」に続き、五輪2つ目のメダルとなった。
蘇選手のメダルの立役者となったのが、日本人の佐藤康弘コーチだ。中国は北京での五輪開催決定後の2018年、岩渕麗楽、大塚健、鬼塚雅ら五輪選手の指導歴がある佐藤コーチに自国の有望選手の指導を依頼した。
蘇選手は選抜された中国人40数人の1人として埼玉県の練習場で佐藤コーチと出会い、二人三脚で技術を磨いてきた。
滑走の前には佐藤コーチに抱きしめてもらうことがルーティンの蘇選手は、金メダル後の会見でも同コーチへの感謝を余すことなく語った。
佐藤コーチはスノボ女子ビッグエアで5位入賞した中国の栄格選手も指導しており、フィギュア男子の羽生結弦選手、大会公式マスコット「ビンドゥンドゥン」をバズらせた日本テレビの辻岡義堂アナウンサーと並ぶ「大会に貢献した日本人」としてメディアに引っ張りだことなっている。
一緒にインタビューに答える蘇翊鳴選手と日本人の佐藤康弘コーチ(出典:Youtube、ポーザーズチャンネル)
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