なぜ飛行機の“中古”部品が売れているのか JALのカプセルトイが7時間で完売:週末に「へえ」な話(2/4 ページ)
飛行機の部品をカプセルトイで販売したところ、航空ファンを中心に話題になっていることをご存じだろうか。JALの整備士が手掛けていて、2〜3日で完売。なぜ人気を集めているのか、担当者に話を聞いたところ……。
相当なカロリーを消費
飛行機に搭乗したとき、ライフベスト(救命胴衣)を目にしたことがある人も多いはず。なにかあったときのために常備しているわけだが、なにかったときにきちんと使えなかったらいけないので、定期的に廃棄しているのだ。その数は、年2000着ほどになるという。
しかし、世はサステナブルに敏感である。整備士から「このまま捨てるのは、もったいない」「なにか使い道はないのかなあ」といった声があって、捨てる予定だったライフベストを使ってポーチをつくったのだ。価格6380円で販売したところ、想定を上回る注文が入ったので、販売を一時停止する事態に。用意していた1000個は、1週間ほどで完売した。
二匹目のドジョウを狙うというわけではないが、次に目をつけたのが「部品」だっのだ。売店やECサイトなどで販売するのではなく、整備士から「カプセルトイで売ってみるのはどうか」という提案があって、動き始めた。
とはいえ、肩書は「整備士」である。飛行機が安全に飛ぶために、点検・点検・点検をしている。不具合などを見つければ、修理・修理・修理である。機体を支えるスペシャリスト集団は、どうやってカプセルトイの販売を行ったのだろうか。JALエンジニアリングの矢田貝弦さんに聞いたところ、「誰にを何を話せばいいのか。どんな契約を結べばいいのか。どこに置くことができるのか。右も左も、全く分からない状況でした」と振り返る。
対外的なことだけではなく、社内調整にも時間がかかったという。飛行機の部品をカプセルトイで販売することを伝えても、社内からは「そんなこと本当にできるの?」「捨てるモノを誰が買うの?」「500円で売れないでしょ」といった指摘があったのだ。
社内調整に時間がかかって、冷ややかな声を耳にする。慣れないことの連続だったので、相当なカロリーを消費したそうだが、カプセルの中に入れるモノ選びも難航した。
関連記事
- 飛行機に“最後に乗る”のはどんな人か 羽田空港を分析
飛行機に乗るとき「できれば早く乗りたい」という人もいれば、「できれば最後に乗りたい」という人もいる。搭乗口で最後に手続きを済ませているのはどのような人なのか。羽田空港で飛行機の遅延分析をされている、JALの担当者に話を聞いたところ……。 - CDが苦戦しているのに、なぜ曲を取り込む「ラクレコ」は売れているのか
CD市場が苦戦している。売り上げが減少しているわけだが、CDをスマホに取り込むアイテムが登場し、人気を集めている。商品名は「ラクレコ」(バッファロー)。なぜ売れているのか調べたところ、3つの要因があって……。 - “売れない魚”の寿司が、なぜ20年も売れ続けているのか
魚のサイズが小さかったり、見た目が悪かったり――。さまざまな理由で市場に出荷されない「未利用魚」を積極的に仕入れ、宅配寿司のネタにしているところがある。しかも、20年も売れ続けていて……。 - 渋谷で「5000円乗り放題」を始めて、どんなことが分かってきたのか
長距離バスの運行などを手掛けているWILLERが「月5000円で乗り放題」のサブスクプランを打ち出したところ、利用者がじわじわ増えている。4カ月ほど運営してみて、どんなことが見えてきたのかというと……。 - 「男女混合フロア」のあるカプセルホテルが、稼働率90%の理由
渋谷駅から徒歩5分ほどのところに、ちょっと変わったカプセルホテルが誕生した。その名は「The Millennials Shibuya」。カプセルホテルといえば安全性などを理由に、男女別フロアを設けるところが多いが、ここは違う。あえて「男女混合フロア」を取り入れているのだ。その狙いは……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.