渋谷で「5000円乗り放題」を始めて、どんなことが分かってきたのか:週末に「へえ」な話(1/3 ページ)
長距離バスの運行などを手掛けているWILLERが「月5000円で乗り放題」のサブスクプランを打ち出したところ、利用者がじわじわ増えている。4カ月ほど運営してみて、どんなことが見えてきたのかというと……。
上京する前、テレビで渋谷駅前のスクランブル交差点の様子が放送されるたびに、感じていたことがある。「東京って、やっぱり人が多いよなあ。駅もたくさんあるし、便利なんだろうなあ」と。
事実、渋谷駅の近くには複数の駅がある。明治神宮前、原宿駅、代々木上原駅、神泉駅など。半径2〜3キロほどの間にたくさんの駅があるので、「チョー便利でしょ」と思っていたが、実際に駅を降りて目的地に向かうと、「あれ? そーでもないなあ」と感じることがある。
例えば、NHK放送センターへ行くには、最寄りの駅が4つもある。渋谷駅、原宿駅、明治神宮前、代々木駅から、それぞれ徒歩10分ほどかかる。真夏、渋谷駅からテクテク歩いていくと、途中に坂道があるので、到着するころには汗ダクダクである。もちろん、タクシーはたくさん走っているので、利用すればよいのだが、料金は500〜600円ほどなので、「運転手さんに嫌な顔をされるのではないか」と想像して遠慮してしまう。
このように、大都会でも不便なところがあるわけだが、「クルマにちょっとだけ乗る」サービスが登場して、利用者がじわじわ増えているのだ。
サービス名は「mobi(モビ)」。長距離バスの運行などを手掛けているWILLER(大阪市)が6〜7月にかけて「月5000円で乗り放題」のサブスクプランを打ち出したところ、10月末時点で5307人が登録しているのだ(渋谷の運行はMKタクシー)。
6月30日から京都府京丹後市で、7月1日から渋谷区で、それぞれサービスを始めているわけだが、どのような特徴があるのだろうか。主な特徴は3つあって、1つめは、専用のアプリから呼び出せば平均10分ほどでクルマが到着して、目的地のバーチャルストップ(以下、停留所)まで送り届けてくれること。2つめは、道路状況などを考慮して、最適なルートで移動すること。3つめは、個人の会員が月額5000円で、同居家族は6人まで登録ができて、1人当たり500円で追加できること。
mobi会員は30〜40代の子育て世代が多いが、どういったシーンで利用しているのだろうか。渋谷のユーザーを見ると、多くの人がサービス提供エリアに住んでいて、いわゆる“生活の足”としてクルマを利用していることがうかがえる。ユーザー調査を見ても「買い物」が最も多く、次いで「通勤・通学」「公共交通機関への移動」「子どもの送迎」と続いた。ちなみに、京丹後市では「飲食」が最も多く、次いで「買い物」「子どもの送迎」「通勤・通学」。やはり、地域によって利用シーンは違うようだ。
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